代表チーム フランス代表

新時代到来?堅実に20年ぶりの栄光への階段を上るフランス代表

著者:マリオ・カワタ

 20年ぶりの栄光に近づくフランス代表の歩みは、実に着実だ。6日の準々決勝では難敵ウルグアイを相手に、前後半にそれぞれセットプレーとGKのミスによって得点を挙げて危なげなくベスト4一番乗りを決めた。若い選手が多いにもかかわらずその用心深く規律正しい戦いぶりは実に老獪であり、逆に言えば前線に豪華なタレントを揃える割には派手さはない。

 大会前から優勝候補の一角として高い評価を得ていたフランスだが、3週間前のオーストラリアとの第1戦はその評判に疑問符をつけるものだった。後半にVARによる微妙な判定のPKで先制したのはよかったが直後に同じようにPKで追いつかれ、なんとか勝ち点3を手にしたのは終盤のオウンゴールのおかげだった。引き分けに終わっていてもおかしくない試合に見えたが、それでも必要な結果を出したことが実は今大会のフランスを象徴しているのかもしれない。

 1-0で勝利した第2戦のペルー戦も内容的には褒められるものではなく、グループステージ最終戦はデンマークとスコアレスドロー。勝ち点だけ見れば順調な船出ではあったが、この時点での総得点は試合数と同じ3にとどまった。ベスト16のアルゼンチン戦でも22歳のベンジャマン・パバールと19歳のキリアン・ムバッペが立て続けにゴールを決めてスリリングな打ち合いを制したものの、そのポテンシャルを遺憾なく発揮したのは一部の時間に過ぎなかった。

 しかし一つの敗戦も許されないワールドカップの決勝トーナメントにおいて、一部の選手の爆発力に頼らず堅実に一歩ずつ階段を上っていくことは優勝するためには欠かせない要素だ。それはフランスが初めて、そしてこれまで唯一の世界制覇を果たした自国開催の1998年大会も例外ではない。当時は格下の南アフリカとサウジアラビアに圧勝して簡単にグループステージを突破したが、決勝トーナメント1回戦ではパラグアイに大苦戦して延長戦終盤のゴールデンゴールでなんとか1-0の勝利。準々決勝では前回大会準優勝のイタリアを0-0の後のPK戦の末に破り、準決勝ではリリアン・テュラムの2ゴールでクロアチアに2-1で逆転勝利と、決勝に辿り着くまでの道のりはギリギリの戦いの連続だった。

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