代表チーム 韓国代表

強国を相手に2大会ぶりの決勝Tを目指す韓国代表、欧州組の充実と守備陣の不安

著者:マリオ・カワタ

 韓国サッカー協会は14日、ワールドカップに向けた代表チームのメンバー28人を発表した。本大会の最終登録メンバー23人はこれから絞り込まれることになるが、2大会ぶりの決勝トーナメント進出を目指すチームの中心になるのは7人が選出されたヨーロッパ組だ。

 特に今季トッテナムで公式戦18得点のソン・フンミンには、チームを牽引する活躍が期待されている。25歳ながら前回のブラジル大会で既に3試合に出場、得点も記録しており、大舞台の経験も十分だ。そして今季ヨーロッパの舞台で活躍を見せたもう一人のストライカー、レッドブル・ザルツブルクのファン・ヒチャンもメンバー入りを果たした。チームが準決勝進出の躍進を見せたヨーロッパリーグでは各国の強豪クラブを相手に堂々たるプレーを披露し、2得点を決めている。

 中盤にはスウォンジーのキ・ソンヨン、クリスタル・パレスのイ・チョンヨン、アウクスブルクのク・ジャチョルという経験豊富な常連メンバーに加え、代表出場歴のないイ・スンウがサプライズ招集された。バルセロナの下部組織で育ち「韓国のメッシ」の異名を持つ20歳の小柄なアタッカーは、今季セリエAのエラス・ベローナに加入。出場機会は多くなかったものの、シーズン終盤に徐々に出番を掴むと今月上旬のミラン戦ではイタリア初ゴールを決めており、秘密兵器として本大会のメンバーにも滑り込むかもしれない。

 また今季リーグ・アンのディジョンで10得点を決めた23歳のクォン・チャンフンも注目に値するタレントだ。これら若手選手の台頭もあり、前回大会からメンバーに残ったのはチーム全体で9人のみとなっている。

 一方で、守備陣には不安が残る。故障者を抱える選手が多く、FC東京のチャン・ヒョンス、鳥栖のチョン・スンヒョンを含む12人ものディフェンダーが代表リストに名を連ねている。

 昨年から指揮を執るシン・テヨン監督も「ディフェンスラインの形成が一番難しい部分だ」と布陣を固められていない苦悩を明かしている。ドイツ、スウェーデン、メキシコと同居する厳しいグループに入っているだけに、本大会までに相手攻撃陣を封じるための最良のオプションを早急に見つける必要がありそうだ。

 韓国代表は今後、国内で今月28日にホンジュラス代表、6月1日にボスニア・ヘルツェゴビナ代表と親善試合を行った後、ヨーロッパに移動して6月7日にボリビア代表とワールドカップ前最後の試合を行う予定となっている。日本代表と共通の課題も多いライバルは1分2敗に終わった前回大会の雪辱を果たせるのか、その戦いぶりに注目したい。

著者:マリオ・カワタ

ドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC