あなたはいくつ知ってる？　バルサ、レアル、ミラン…サッカークラブのエンブレム誕生の秘密【前編】

サッカークラブのエンブレムには言うまでもなく、そのクラブの様々な歴史や背景が込められている。そこで今回はビッグクラブのみならず、様々なサッカークラブのエンブレムの由来について紹介する

バルセロナ

クラブ設立年：1899年

後にバルセロナの4代目会長となるハンス・ガンペール氏が青えんじ色を採用し、現在に至る。クラブ設立当時は市の紋章にちなみ、月桂樹の葉とコウモリがあしらわれていたが数年後に新エンブレムを作成することになった。その会議中に出た「鍋」という言葉を基にガンペール氏がデザインを提案し採用され、現在に至る。エンブレム上部の赤い十字架はカタルーニャの守護聖人である聖ジョルジュの十字であり、中央の文字はクラブの頭文字であり、そして下部にはサッカーボールと青えんじのストライプが施されている。

レアル・マドリード

クラブ設立年：1902年

レアル・マドリードは白い軍団を意味する「Blancos」という愛称の通り、チーム誕生から白一色である。白を採用したのは、1902年、イングランドにあったアマチュアクラブの強豪クラブ・コリンシャンFCにならったという。エンブレムはクラブ創設時からMadrid Football Clubの頭文字であるMFCをベースにしたものだ。当時はレアルの称号がなかったため、当然王冠はついていなかった。サッカーをこよなく愛するアルフォンソ13世国王から「レアル」と称号を授かり上に王冠がつくようになったのだ。

セビージャ

クラブ設立年：1905年

エンブレムは1922年に誕生した。左上の絵は市の紋章にちなんだモチーフとなっており、右上はチーム名の頭文字を組み合わせになっている。また、中心にはサッカーボールを据え、下部にはクラブカラーである赤色と白色のストライプが施されている。左上の絵にみられる中央の人物はフェルナンド3世であり、その両脇には聖イシドロと聖レアンドロがいる。

ビジャ・レアル

クラブ設立年：1923年

エンブレムの中心にあるCVFはクラブの正式名称「Villarreal Club de のFutbal」の頭文字、黄色とオレンジのストライプは、バレンシア地方を象徴する色で、週の旗の色でもある。外側の円の水色は、海の街をイメージしたもの。トップにある王冠はレアル・マドリードとデザインが異なるが、レアルはスペイン国王であるが、「王の街」という意味のビジャレアルは、アラゴン王国の王を意味しているからだ。

アトレティコ・マドリード

クラブ設立年：1903年

1903年にバスク系の学生が設立したということもあり、彼らの故郷のクラブであるアスレティック・ビルバオに近しいものとなっている。クラブ名や赤色と白色のストライプだけではなく、エンブレムも由来している。エンブレムの左上は1202年に制定された市の紋章であるヤマモモの実を取ろうとしている熊の絵である。そしてそれらを囲む7つの星はおおくま座の一部である「北斗七星」に由来している。

バレンシア

クラブ設立年：1919年

上部に描かれたコウモリは市の紋章にも見られるバレンシアのシンボル。13世紀、アラゴン王国ハイメ1世の時代、イスラム教徒からのキリスト教の失地回復運動「レコンキスタ」の戦いが行われた。そこで王の肩にコウモリがとまり、戦いで勝利を収めたという史実があり、コウモリが幸運の使者となった。このコウモリは王冠の代わりなのだ。

エスパニョール

クラブ設立年：1900年

1910年に用いられていたエンブレムのデザインが現在のものにも通じている。青色と白色のストライプは13世紀に海軍総督であったロヘル・デ・ラウリアの紋章に由来している。1912年に当時国王であったアルフォンソ13世から「王（レアル）」の称号を授かったことをきっかけにエンブレムに王冠が配された。また、カタルーニャのアイデンティティを打ち出すためにチーム名をカタルーニャ語表記に変更し、そして中央政府を暗示すると考えられている王冠が目立たないようなデザインに変更されている。

アスレティック・ビルバオ

クラブ設立年：1898年

アスレティック・ビルバオはスペインからの独立志向が高いバスク地方にあるクラブということもあり、クラブ名はスペイン語読みの「アトレティコ」ではなく英語読みの「アスレティック」となっている。エンブレムの左上にはは市の紋章をモチーフにした絵を、その下にはクラブカラーである赤色と白色のストライプを施している。建物は要塞サン・アントン城にかかる橋であり、木はバスクの自由と独立の象徴である「ゲルニカの木」、そして2頭の狼とエンブレムの左右にある×印は古い紋章に由来する。