サンチェス移籍の陰で割を食う若手たち。ラッシュフォードとマルシャルの未来は

著者：Conor Kelly（翻訳者：土屋一平）

「歴史を学ばないものはそれを繰り返すことになる」

　古くはたびたび混乱を招いたジョージ・サンタヤーナの引用はトップレベルのフットボールに定期的に適用される。先週の日曜日の午後、ジョゼ・モウリーニョは魅力的な攻撃を見せた。活気のないパフォーマンスに終始したマンチェスター・ユナイテッドがニューカッスル・ユナイテッドに1‐0で敗北する姿を目の当たりにしたが、禅の精神を宿したようなポルトガル人は平和の中にいた。彼は長年の敵であるラファ・ベニテスを優しくハグさえした。

「敗戦はフットボールにおける美しいものだと思う。何試合かの敗北の後、サー・ボビー・ロブソンは『悲しむんじゃない。相手のチームの幸せを考えるんだよ』と私に教えてくれたんだ」モウリーニョは試合後の記者会見でこう述べた。「フットボールの神様は彼らの側にいたのさ」

　このような偽りの優雅さは2015年にチェルシーがFAカップでブラッドフォードに敗れた際に、自分のチームが屈辱にまみれるにもかかわらずモウリーニョが謙遜してリーグ・ワンのクラブを称えたときのことを思い起こさせる。

　過去の別の一面は、アンソニー・マルシャルとマーカス・ラッシュフォードにとって不快な見解となるだろう。ユナイテッドの才能あふれる若きアタッカーたちは1月のアレクシス・サンチェスの加入後、チームの序列のどの位置に自分がいるのか自ら評価しなければいけない。時期尚早かもしれないが、オールドトラフォードでのチリ人の活躍を考えると、その恐怖はすでに頭をもたげてきている。

　3バックにウィングバックを配置するシステムをシーズン序盤で試していたにもかかわらず、モウリーニョはいつも4‐3‐3か4‐2‐3‐1のフォーメーションを好んで使用している。ここ最近の4試合でサンチェスはラッシュフォードかマルシャルが務めていたロメル・ルカクの背後の3枚の左MFとしてプレーしていた。ジェシー・リンガードには中央のポジションが保証されているので、空いているのは右MFだけになる。

　マルシャルはセンターフォワードとして移籍してきたが、ユナイテッドでは主に左サイドでプレーしている。サンチェスが加入する前の数か月間、彼は3試合に1点ペースで得点を重ねていた。しかしサンチェス加入後にはフランス人は右サイドに回されて、自分のやるべきことが理解できずに明らかに混乱していた。