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イタリア相手に衝撃ハットトリック。アトレティコの新たな顔サウール・ニゲスとは何者か。プレースタイルや生い立ち、クラブ愛の秘話を解説【TRIBE SCOUT】

アトレティコ・マドリードのサウール・ニゲス 写真提供:Getty Images

プレースタイル

 アトレティコのクラブカラーに似合うハードワークを惜しまない。中盤センターの低い位置から相手のプレッシャーを交わして持ち上がるだけのボールコントロール、相手ボールホルダーに対する執拗なプレスによるボール奪取を武器としている。もちろん体格を生かした空中戦での強さも光るが、ボックス外からの強烈なミドルシュートも兼ね備えている。

ポジション

※2016/2017シーズン終了時点 データ:transfermakt.de

 サウールは中盤センターでの出場機会が多いが、最終ラインやサイドでも遜色なくプレーできるユーティリティ性が持ち味だ。ここ2,3年はサイドでの出場機会が増えており、スピードと体格を生かした突破力を発揮している。

アトレティコの新たな顔に

 サウールは今季もCLの舞台で決定的な仕事を果たしている。4月18日の準々決勝・2ndレグのレスター戦で貴重なアウェイゴールを挙げてチームをベスト4に導いた。試合後、スペイン紙『マルカ』のインタビューで、サウールはこの2シーズン抱え続けた苦悩について語っている。

「トレーニングやゲーム終了直後、トイレをする時には必ず血が混ざっている。本当に気持ち悪いよ」

「ここ2年間はカテーテルを抱えながらプレーしている。僕は自らのポジションを守りアトレティコで充実したシーズンを送りたい。リスクを背負いながらもプレーを続けるよ」

 サウールはラージョへ武者修行に出た2013/2014シーズンからすでに腎臓に問題を抱えていたが、2014/2015シーズンのCLベスト16・1stレグのレバークーゼン戦でキリアコス・パパドプーロスと交錯して腎血腫を負っている。確かにサウールは現在チェルシーのFWジエゴ・コスタやユベントスのFWマリオ・マンジュキッチ、ビルバオのMFラウール・ガルシアなどピッチ上で闘志を前面に押し出す選手ではないかもしれない。しかしこのような困難な状況下に置かれていても、常にピッチ上に立ち続けたという点で最もタフな選手であるといっても過言ではない。

 またサウールはアトレティコ在籍時のキャリア通算で、CLを除く公式戦では1ゴール挙げるのに平均8.61試合を要しているが、CLでは4.83試合であり(2017年4月18日のCL準々決勝・2ndレグのレスター戦終了時点)、大舞台での勝負強さを発揮しており、そんなサウールをアトレティコの新たな顔になるための資質を兼ね備えていると称賛するファンの声は多い。

アトレティコとの深いきずなについて語るサウール

 サウールはU21欧州選手権での活躍を受けて市場価値がさらに上昇。ビッグクラブからの注目度も増し、バルセロナが獲得へ乗り出しているという噂も取りざたされている。

 この夏でビッグネーム獲得を宣言しているバルセロナはPSGのMFマルコ・ベッラッティ獲得を狙っているが、ベッラッティ獲得失敗時にはサウールにターゲットを切り替えるかもしれない。サウールは中盤センターから細かいボールタッチによるドリブルで持ち上がる能力を兼ね備えている点でベッラッティと共通している。

 しかしサウール本人はこの移籍話を一蹴。アトレティコでのプレーしか考えていないと、スペイン紙『アス』を通じて語っている。
 
「アトレティコでプレーしたいという気持ちはずっと変わらないはずだ。カンテラの時からずっとクラブが僕を信頼してくれたし、これまで受けてきた信頼に対してプレーで恩返しをしたいね、アトレティコを離れることなんて一切考えていないよ」

 マドリードでのいじめを受けてアトレティコに加入したサウールはクラブのサポートに感謝しており、生涯アトレティコでのプレーを熱望しているようだ。

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