アジア セリエA

“快適な状況”から抜け出す。U-20日本代表がイングランドから学ぶべき競争心

 この日々の競争は、より勇ましく、より意思の固い人格を生み出すためのものだ。イングランド代表「スリーライオンズ」が先週の金曜日に韓国を1-0で下してグループAの勝利を決めた後、チェルシーのDFフィカヨ・トモリはチームの心理について語った。

「僕たちの中には2、3万人のスタジアムでプレーしてきた者もいるけど、今日は3万5千人から4万人の観客がいたね。ホームの国と対戦することは、僕たちにとってこれまでと違った種類の経験となったよ」

 トモリは現在19歳。プレミアリーグ2015/2016シーズンの最終日にチェルシーでのデビューを果たし、今シーズンは1月よりチャンピオンシップ(イングランド2部)のブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンにレンタル移籍を果たした。

「(スタジアムの)観客たちは明らかに僕たちに勝ってほしくなかっただろうけど、アウェイの環境にうまく対処したと思う」

 イングランドの選手たちが水原での35,279人の“レッズ”ファンの力を借りて、この挑戦を受け入れ楽しむ様は、日本の試合における試案的なアプローチとは対照的だ。トモリのチェルシーでのチームメイトであるFWドミニク・ソランケは、このような高いプレッシャー環境で成長することによって深めた決意を加えた。

「(U-20ワールドカップで)多くのチームはホームでプレーすることには自信を持っていると思う。僕たちよりもずっと多く一緒に練習しているチームもある。でも、実力ある選手と対決する経験は、間違いなくイングランドに戻った時の僕らの力になるね」

「実力ある選手」は明確な言葉の選択だった。現在、韓国で戦うイングランド代表の選手たちは「そうでない者」であり、今後イングランドのファンの期待に応えるためには、できるだけ早く「実力ある選手」に成長することが課題なのだ。

 このような決意を持った選手たちと、日本は今後数十年にわたってAFCアジアカップやFIFAワールドカップで対戦していくだろう。彼らと肩を並べるためには、より多くの日本選手がライバルと同じ環境で成長を深めることが不可欠だ。つまり、できるだけ早い段階で、海外への移動を検討することである。

 日本代表DF冨安健洋は「どこの相手とやるにしても、最初から負けるメンタルで戦ったら何も得られない。そんなメンタルで行っても勝てるわけありません」と語っている。冨安は所属クラブであるアビスパ福岡では元日本代表の井原正巳監督のもとレギュラーとして戦っており、「自分たちも日本のをサッカーやれば絶対勝てるという気持ちを持って、チャレンジャーとして臨んでいきたいと思います」と決意を示している。

 冨安の考えは行動で示されなければならないだろう。日本は少なくともイタリア戦で、イタリアと同等もしくはそれ以上のタレントがあることを示した。世界のライバルたちから遅れをとらぬよう、さらに今後数年で追い抜くためには、次の世代の選手は快適な環境から脱する必要があるのだ。

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