
百年構想リーグから続く攻撃面の課題
守備陣が最少失点に留めるなか、大きな課題となっているのが得点力の低さだ。百年構想リーグでも、20試合で20得点と物足りない数字に終わっていた清水。今夏は課題克服に向けてFWジャーメイン良やFW木下康介といった実績のあるフォワードを新たに迎えてスタートを切ったが、残念ながらその効果は未だ表れてはいない。
前線での起点となるFWオ・セフンの存在感は相変わらず高く、ここまで空中戦勝利数27はリーグで2番目に高い数字となっており、直近2試合では先発を離れた中でも数字を残している。空中戦勝率で言い換えれば61.4%となっており、2023年神戸で前線の起点となっていたFW大迫勇也が48.6%だったことと比べても高水準であることが窺える。
ただし、当時の神戸と比較して見劣りするのが運動量に関する数字だ。攻守両面での数字となるが単純に走行距離で比較すると神戸の1試合平均が114kmに対して今季の清水は108km。1試合平均のアタッキングサードでのスプリント回数を比較しても、神戸53に対して清水43と物足りない点が見られる。
内訳を見ると、当時の神戸で右サイドを中心に出番を得ていたFW武藤嘉紀が年間で402回、1試合平均12回に対して、今季清水の同ポジションで出場機会を得ている選手では、直近の2試合に先発したMF松崎快が3試合で12回、1試合平均4回。右サイドの主軸であるFW北川航也で2.7回となっており、いかに当時の武藤が足を使っていたかが窺える数字となっている。
他のポジションでも同様のことが言える。インサイドハーフでは、当時のMF佐々木大樹の1試合平均6.6回に対して、今季清水ではジャーメイン良で5.8回、MF嶋本悠大で3.1回と、役割やプレースタイルにより同様のポジションでも違ってくるのは当然と言えるが、攻撃に厚みの出ない一因として挙げざるを得ないだろう。
また、何より改善が求められるのがいわゆる決定力あるいはチャンスメイク力だ。単純に1試合平均のチャンスクリエイト数を比較すると、2023年の神戸が11.4だったのに対して今季の清水は8.2とやや見劣りする程度。だが、シュート決定率に関しては神戸の14.2%に対して清水は4.9%と言い訳できない数字の開きが見て取れる。シュートの質や量ももちろんだが、決定機につながるクロスやラストパスの質についても早急な改善が求められるのは間違いない。

守備の安定を得点力に変えられるか
次節9月12日の第7節アビスパ福岡戦は、出場停止により主将DF住吉ジェラニレショーンを欠く清水。開幕から山場続きのチームだが、ここでまた堅守の中心にいるべき選手を欠いて連敗回避に臨むことになる。
当然、この堅守を貫けるかが大きな見どころになるが、課題の得点力不足を克服しないことには勝ち点は最高でも1点止まりだ。
ここでは単純な2023年時の神戸と数字のみで比較してきた。もちろん年間通しての神戸の数字に対し、清水は第6節までと大きく分母は異なる部分もあるが、守備面では当時の優勝チームに匹敵するほどの数字を残しながら歩みを進めている。
しかし、攻撃面、特に得点に関する部分では質、量ともに不足しているのは明らかだ。夏の補強で即戦力を多く得たが、「人」での改善は容易に進まないことがここまでの6試合で明白となった。
吉田監督はここからどのように運動量と強度を担保し、得点という詰めの質を向上させていくのか。かつて神戸を連覇に導いた指揮官の手腕が正に問われる状況と言えるだろう。
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