Jリーグ 水戸ホーリーホック

“J2の番人”水戸ホーリーホックがJ1昇格圏!躍進の裏にある育成戦略とは

水戸ホーリーホック 写真:Getty Images

2025明治安田J2リーグは5月18日までに第16節を終え、ジェフユナイテッド千葉が勝ち点36で首位を走っている。トップの千葉から6位のジュビロ磐田までは勝ち点9差。そんななか、4連勝と好調を維持しているのが現在3位の水戸ホーリーホックだ。

2000年にJ2参入後、これまで1度も昇降格を経験することなく20年以上同カテゴリーで戦い続けており“J2の番人”とも呼ばれているが、水戸での活躍を機にJ1や海外クラブへステップアップした選手も多く、育成面では定評がある。ここでは、水戸の今季ここまでの戦いと育成型クラブとしての魅力について伝えていく。


水戸ホーリーホック サポーター 写真:Getty Images

リーグ戦4連勝でJ1昇格圏に

2025シーズンの水戸は、2月15日に行われた磐田との開幕戦で黒星を喫したものの、その後は好調を維持しており、現在リーグ戦では8試合負け無しの4連勝で3位に浮上するなど大きな躍進を見せている。さらに第15節のブラウブリッツ秋田戦、第16節のロアッソ熊本戦では2試合連続で後半アディショナルタイムに勝ち越しゴールを挙げるなど勝負強さも見せている。

J2での水戸はこれまで特に目立つ成績はなく、最高成績は2019年の「7位」とJ1昇格とは縁遠い歴史を歩んで来た。その水戸がここに来てJ1自動昇格も狙える3位に位置してるのはなぜなのだろう。その理由のひとつには「育成の水戸」とも呼ばれる独自の理念と戦略がある。


水戸ホーリーホック 写真:Getty Images

「育てながら勝つ」独自理念と戦略

水戸はビジョンのひとつとして「人が育ち、クラブが育ち、街が育つ」を掲げている。この理念は、単に若手選手を育成するだけでなく、彼らをチームの中核として活躍させながら同時にチーム全体の競争力を高めるという挑戦的なアプローチだ。

現在のJ2リーグを見ると、RB大宮アルディージャやジェフユナイテッド千葉、ベガルタ仙台などかつてJ1に在籍していたチームも多数所属しており、これらのクラブと比べ水戸には経済的な課題がある。レベルの高いJ2リーグで勝ち抜くには、競争力のある選手を揃えるための資金力が必要だが、水戸のような地方クラブは経済面での不利が明白だ。

Jリーグが公表したJ2の2023年度クラブ別人件費を見ると、水戸のトップチーム人件費は3億4,600万円。これに対し、この年J1に昇格した清水エスパルスは22億4,600万円と約7倍の差がある。多額の費用をかけて選手を獲得することのできない水戸のようなクラブにとって、成長を期待される若手選手の活躍が勝利へと直結する体制構築は戦略として非常に効果的で、その実現こそ現在水戸が好調な要因のひとつと言えるだろう。

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名前:Nao
趣味:サッカー観戦、お酒、子供が所属するサッカークラブの応援
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