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元人気Jリーガーが判定基準の変更説明。審判委員会の問題点とは

小林祐三氏(横浜F・マリノス所属時)写真:Getty Images

小林氏の役割と違和感

判定基準の説明については、現役時代、DFならばサイドバックとセンターバック、加えてボランチもこなすポリバレントさを武器に柏レイソル(2004-2010)、横浜F・マリノス(2011-2016)、サガン鳥栖(2017-2020)と渡り歩き、J通算523試合出場の記録を持つ小林氏ならではの視点ともいえる。

2021年、当時関東1部リーグのCriacao Shinjuku(クリアソン新宿)で引退し、鳥栖のスポーツダイレクターを務めた後、昨2024年10月からJリーグフットボール本部で「企画戦略ダイレクター」に就任した小林氏。鳥栖との契約満了後に「サッカー界から離れるつもりだった」と語っていたものの、“人間万事塞翁が馬”ともいうべきか、日本サッカー界の保守本流を行くような役職を与えられ、Jリーグの普及に奔走している。

しかし、このブリーフィングには拭い切れない違和感がある。

説明責任を果たす必要があったのは3月18日のレフェリーブリーフィングに出席した扇谷氏と佐藤氏だったのではないか。審判員資格もコーチライセンスもなく審判委員会とは何の関係もない小林氏に、判定基準についてメディア対応させることは職務放棄とも呼べるものではないか。

本当に謝罪し誤解を解くという目的があるのならば、扇谷氏あるいは佐藤氏が出てきて、“誤解を与える表現”とは何を指したのかをピンポイントで教えてほしいところだろう。判定基準がブレていることが問題なのに、言葉の表現のせいにしている印象である。

現役時代、人気選手だった小林氏に“汚れ役”を押し付けたのかと邪推してしまうほどだ。


扇谷健司氏 写真:Getty Images

問題の核心はぼやけたまま

ファンの不満の対象は「表現」よりも、判定基準が変わったことや審判のジャッジそのものである。にも関わらず「表現が誤解を生んだ」と弁解するのはまるで言い訳がましい小役人のようだ。「私が責任を取る」といった審判員としての自負も感じられない。

審判委員会の声明は「謝っているようで謝っていない」「問題の核心をぼやかせている」印象を与え、聞く側をモヤモヤさせただけに終わった。

現在、DAZNで配信中の『シンレポ-Jリーグ審判レポート-』には扇谷氏と小林氏が揃って出演。しかし事例として紹介したシーンは、レフェリーがファールを流したことでゴールが生まれたナイスジャッジばかりで、明らかな誤審を紹介したシーンは最後にわずか1つだ。

一昨年まで配信されていた『Jリーグジャッジリプレイ』を終わらせた上でスタートした同番組だが、扇谷氏が審判委員長の立場としての言い分を一方的に垂れ流し、小林氏もその言葉に沿った補足を語るばかりで、単なる“審判員ヨイショ番組”になり下がったことを強烈に印象付けただけだった。

おそらく審判委員長の職にある扇谷氏でさえも突然の基準変更に戸惑い、腹の中では「俺のせいじゃない」と思っているのではないだろうか。確かにシーズン直前のタイミングでトップダウン式に運用が開始されたことで弁解の余地がないわけではない。


もう2か月もすれば、欧州各国の今2024/25シーズンのリーグ戦が終了する。Jリーグが“世界基準”を本気で目指すのならば、いっそのこと欧州のトップレフェリーを30人以上連れてきて、J1からJ3まで全ての公式戦の主審を任せてみても面白いだろう。今2025シーズンがJリーグ春秋制最後のシーズンであることを考えれば、今がラストチャンスだ。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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