
2月14日に開幕を迎える2025明治安田J1リーグ。3連覇を狙うヴィッセル神戸を筆頭に、惜しくも2位で終えたサンフレッチェ広島やJ1初挑戦ながらも躍進した町田ゼルビア、そしてJ2からの昇格組を見ても復権を狙う清水エスパルスにJ1初年度を迎えるファジアーノ岡山と注目ポイントの多いシーズンがいよいよ始まる。
この時期なによりも各クラブのファンやサポーターが注視しているのが、今冬新たにチームへ加わった選手たちの実力とフィット感だろう。この冬はJ1の勢力図に大きく影響しそうな大規模補強を行ったクラブも出ており、新天地で新戦力がどんな活躍を見せてくれるのか今から楽しみだ。ここでは、そんな各クラブの補強状況から今冬戦力アップに成功したと見られるクラブを6つランキング形式で紹介していく。

6位:アビスパ福岡
主なIN選手
- DF上島拓巳(横浜F・マリノスより完全移籍)
- DF安藤智哉(大分トリニータより完全移籍)
- DF志知孝明(サンフレッチェ広島より期限付き移籍)
- MF見木友哉(東京ヴェルディより完全移籍)
- MF名古新太郎(鹿島アントラーズより完全移籍)
- FW藤本一輝(町田ゼルビアより完全移籍)
主なOUT選手
- DF宮大樹(名古屋グランパスへ完全移籍)
- DFドウグラス・グローリ(ポルティモネンセSCへ加入)
- MF前寛之(町田ゼルビアへ完全移籍)
- FW佐藤凌我(ジュビロ磐田へ完全移籍)
2023シーズンはYBCルヴァンカップを制してクラブ史上初のタイトルを獲得し、リーグ戦でも過去最高となる7位でフィニッシュと収穫の多いシーズンとなったアビスパ福岡。確かな手ごたえを得てさらなる躍進が期待された2024シーズンだったが、夏場の11戦未勝利の影響などもあり勝ち点を伸ばせず12位で終えた。
昨季をもって5年間指揮を執った長谷部茂利監督が退任し、新体制で迎える今季。残念ながらJ2時代からチームを支え続けたDFドウグラス・グローリやMF前寛之といった主力選手はチームを離れたが、各ポジションに頼もしい新戦力を加えている。堅守を貫くためにも重要なセンターバックにはDF上島拓巳とDF安藤智哉を獲得。選手の流出もあったポジションだが、昨季までと同様高さと強さを兼ね備える選手を揃えた。中盤では豊富な運動量が魅力のMF見木友哉とMF名古新太郎を補強。ともに得点力も高く、中央のキーマンとしての働きに期待だ。また、攻撃面ではFW藤本一輝の獲得も大きい。昨季町田では36試合に出場して3ゴール3アシストを挙げており、その突破力や高さが福岡でどう活きるのか注目したい。
長くチームを支えた選手の流出があったものの、それを補うだけでなく攻守ともにさらなるレベルアップにつながる補強が実現したことから戦力アップに成功したクラブ6位とした。

5位:サンフレッチェ広島
主なIN選手
- MF菅大輝(北海道コンサドーレ札幌より完全移籍)
- MF田中聡(湘南ベルマーレより完全移籍)
- MF井上潮音(横浜FCより完全移籍)
- FWジャーメイン良(ジュビロ磐田より完全移籍)
主なOUT選手
- MF青山敏弘(引退)
- MF松本泰志(浦和レッズへ完全移籍)
- FWドウグラス・ヴィエイラ(契約満了)
- FWピエロス・ソティリウ(APOEL FCへ加入)
- FWゴンサロ・パシエンシア(スポルチ・レシフェへ加入)
昨季は惜しくも2位でシーズンを終えたサンフレッチェ広島。直近3シーズンいずれも3位以内のチームが今季見据えるのは優勝のみ。今冬の補強は、そんな意気込みがありありと伝わってくるものとなっている。日本代表経験者が多くを占める守備陣に大きな動きはなく、今季も安定感のある守備力が期待できる。中盤では、クラブのレジェンドでもあるMF青山敏弘が昨季をもって引退。加えて急激にチーム内での存在感を高めていたMF松本泰志が移籍と、決して小さくない戦力流出があった。しかし、新加入選手たちには彼ら以上の働きと今後の成長を期待できる。
湘南ベルマーレから加入のMF田中聡はボール奪取や鋭いパスでのチャンスメイクが魅力。さらに昨季は積極的にミドルシュートを放ちゴールも挙げるなど、成長著しい選手なだけに広島でのさらなる進化にも大いに期待だ。また、MF井上潮音はゲームメイクに定評があり新たなチームの心臓として注目だ。サイドではMF菅大輝も獲得。常に上下動を繰り返す運動量と強烈な左足のシュートが広島でどう活きるのか期待したい。最前線は外国籍選手が相次いでチームを去ったが、昨季リーグ3位タイかつ日本人選手トップタイの19ゴールを挙げたFWジャーメイン良を獲得。新たな得点源が機能するかどうかは、優勝を目指す上で重要な要素の1つとなるだろう。
チームの精神的支柱となっていたベテランや外国籍選手との寂しい別れもあったが、ピンポイントにチーム強化につながる補強となったことから戦力アップに成功したクラブ5位とした。

4位:名古屋グランパス
主なIN選手
- GKシュミット・ダニエル(KAAヘントより完全移籍)
- DF宮大樹(アビスパ福岡より完全移籍)
- MF浅野雄也(北海道コンサドーレ札幌より完全移籍)
- MF原輝綺(清水エスパルスより完全移籍)
- FWマテウス・カストロ(アル・タアーウンFCより完全移籍)
主なOUT選手
- GKランゲラック(メルボルン・ビクトリーFCへ完全移籍)
- DFハ・チャンレ(大田ハナシチズンへ期限付き移籍)
- MF倍井謙(ジュビロ磐田へ期限付き移籍)
- FWパトリック(ツエーゲン金沢へ完全移籍)
昨冬は前線にFW山岸祐也やFWパトリックら即戦力を複数加えた一方、守備陣ではDF中谷進之介やDF藤井陽也といった主力がチームを離れた名古屋グランパス。その影響もあってか開幕から3連敗と出遅れ、一時は持ち直すもシーズン中盤の6月や終盤の10月に黒星が重なり、ルヴァン杯では優勝を手にするもリーグ戦は最終的に11位と不本意な結果に終わっていた。
巻き返しを図るためにも重要な今冬の補強では、即戦力を多数獲得することに成功した。まず、7年間ゴールを守ったGKランゲラックの後継者としてGKシュミット・ダニエルを獲得。残念ながら1月末に怪我の発表がなされたが、復帰後はその能力や経験から間違いなく頼りになる存在だ。次に守備陣では左利きかつ空中戦の強さも売りのDF宮大樹と複数のポジションを高いレベルでこなすユーティリティ性が魅力のMF原輝綺を獲得。DFハ・チャンレの移籍があったものの選手層に厚みを持たせる補強となった。そして、注目の攻撃陣には昨年こそ怪我に苦しんだが2023シーズンには二桁ゴールを挙げているMF浅野雄也に加えて、かつての背番号「10」FWマテウス・カストロが2年ぶりに帰還。他クラブが震え上がる左足の持ち主が帰ってきたことで、攻撃時の怖さは数段上がるに違いない。
長くチームを支えた守護神が去り新たな正GK候補筆頭も怪我に見舞われたが、攻守ともに手堅い補強で上位を狙える布陣を整えたと言えようことから戦力アップに成功したクラブ4位とした。
コメントランキング