
「This is …」清水エスパルス秋葉忠宏監督
清水エスパルスの秋葉忠宏監督が水戸ホーリーホック監督時代(2020-2022)から認知されていた「This is Football!」というこの言葉。クラブ初の2年連続でのJ2で、優勝とJ1復帰を目指す清水のサポーターを巻き込む言葉として一気にブレークを果たした。
このフレーズによって、秋葉監督は清水のスポンサーでもある静岡県の焼肉チェーン店『京昌園』のCMにも出演。「This is 焼肉!This is 京昌園!」と絶叫している映像が、テレビCMのみならずホームスタジアムのIAIスタジアム日本平でも流れ、サポーターの大爆笑を誘っている。
清水がJ2優勝を決めた11月3日の第37節いわきFC戦後には、インタビュー中にも関わらずゴール裏のサポーターに向け、「じゃあみなさんご一緒に!This is S-Pulse!」と声を張り上げ、喜びを分かち合った。クラブもこの“商機”を逃すはずもなく、秋葉監督自身が監修した「THIS IS」グッズを限定受注販売し、物販面でも貢献した。
2025シーズン、3年ぶりのJ1を戦う清水。もちろん簡単なタスクではないが、現実的な目標であるJ1定着を成し遂げ、再び「This is S-Pulse!」と吠えて欲しいものだ。

「我々が正義」町田ゼルビア黒田剛監督
J1最終節まで史上初の「J1初昇格即初優勝」の可能性を残し、2024シーズンのJ1リーグを大いに盛り上げた町田ゼルビア。結果的に3位に終わったものの来季のACL出場権を得た(ACLエリートかACL2かは、今季の出場Jクラブの結果次第)ことで、黒田剛監督の手腕は素直に評価すべきだろう。
青森山田高校で4度の全国制覇を成し遂げた後、当時J2の町田の監督に就任。前年15位だったチームをいきなり優勝に導き、J1でも旋風を巻き起こした黒田監督。球際の強さを選手に求め、ショートカウンターとロングスローを武器にJ1の猛者たちをバッタバッタと倒していく姿は痛快ですらあった。その一方、勝利だけを追い求め、エンタメ性のかけらもないスタイルに対し、徐々に批判めいた声が上がるようになる。
そしてその声が大きくなる出来事が起きる。6月12日に行われた天皇杯2回戦の筑波大戦(町田GIONスタジアム)で、町田は後半アディショナルタイムに追いつかれると、PK戦に持ち込まれ敗退するというジャイアントキリングを演出してしまう。
問題はその後だ。黒田監督は4人の負傷者を出したことに触れ、筑波大に対し警告を2枚しか出さなかった主審の福島孝一郎氏を批判。返す刀で筑波大イレブンに「非常にマナーが悪い」「タメ口であったり、大人に対する配慮が欠ける」と言い放ち、ついには筑波大の小井土正亮監督に対しても「指導教育もできていない」とブッタ斬ったのだ。
その発言が波紋を広げる中、3日後の6月15日第18節横浜F・マリノス戦(日産スタジアム/3-1)で勝利した後、改めて発言の真意を問われると、「町田は決して悪ではない。我々が正義」と主張。自ら火に油を注ぐ。一方的に〝悪〟のレッテルを貼られた筑波大イレブンのSNSには、町田サポーターからと思われる嫌がらせコメントが溢れ、小井土監督が故意のラフプレーを否定し、謝罪と騒動の収束を願うコメントを発せざるを得なくなる。
騒動はここでも終わらない。自身や町田イレブンへ向けられた批判に対し、「家族がいるからね。子どもたちもいい気がしない」と、あくまで“被害者”であると主張を曲げなかった黒田監督。これを機に、町田と黒田監督はJの歴史上稀に見る批判の的となっていく。鎮火の兆しすら見えない事態に町田側は10月になって、加藤博太郎氏を顧問弁護士に据え「通報窓口」を設置した上で、SNSにおける誹謗中傷に対し、名誉毀損などの疑いで投稿者を東京地検に刑事告訴した。
現時点で逮捕者が出たという報道がないことで、投稿者を特定できたとしても内々に“注意”で済ませている可能性もある。ただ、アマチュア、しかも学生相手に負けたプロの監督が腹いせに発した言葉が炎上し、サポーターを巻き込んだ大騒動に発展したこの事案は、間違いなくJの黒歴史として記憶されるだろう。
12月9日、今2024シーズンの優秀監督賞の得票順位表を発表。その結果、J1優勝ヴィッセル神戸の吉田孝行監督(61票)を抑えて、サンフレッチェ広島のミヒャエル・スキッベ監督(121票)が受賞した。黒田監督は、3位東京ヴェルディの城福浩監督(44票)と、4位アルビレックス新潟の松橋力蔵監督(29票)の後塵を拝する16票の5位に終わっている。
なお、ベストイレブンにも町田からは1人も選出されなかった。これは選手と監督による投票だが、サポーターだけではなく他クラブの選手からも、順位ほどの評価を受けていなかったことを象徴しているのではないだろうか。
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