その他 欧州その他

欧州トップの選手輩出実績!アヤックス・アカデミーに再注目

アヤックス ユース選手 写真:Getty Images

現代のサッカークラブの大半にはアカデミーの存在があり、多様な育成プログラムを通じて有名クラブへとプロ選手を輩出している。

欧州で最も多くヨーロッパ諸国の名クラブへと選手を輩出してきたのは、オランダ1部エールディビジ所属のアヤックス・アムステルダム(以下アヤックス)のアカデミーだ(2012年、エディンバラ大学文献より)。現在も引き続き欧州でトップの選手輩出実績を誇る、アヤックスの基本情報とアカデミーの実態について少しご紹介していこう。


1995年、UEFAチャンピオンズリーグ優勝のアヤックス 写真:Getty Images

トータルフットボールの黄金時代

アヤックスは、オランダのアムステルダムを本拠地として1900年に設立された長い歴史のあるサッカークラブの1つである。1970年から約8年間ほど、ポジションという形にハマらず状況に併せて流動的にプレーをする「トータルフットボール」というスタイルが存在し、1974年W杯でオランダ代表が用いた戦術として知られるが、それを推奨していたクラブだった。

トータルフットボールのスタイルを守り抜いたアヤックスは、1969/70シーズンのKNVBカップ(オランダ杯)でクラブ史上3度目の優勝を果たす。これを皮切りに翌シーズン、そして翌々シーズンと3年連続で優勝という快挙を成し遂げた。現在までの合計ではKNVBカップで20タイトルを獲得。同大会史上最も優秀なクラブとされている。

1970年前後は、アヤックスがトータルフットボールで勢いに乗っていたまさに黄金時代と言える。その勢いは止まることなくUEFAチャンピオンズリーグ(CL)でも発揮され、1970/71、1971/72、1972/73シーズンに3連覇。22年後の1994/95シーズンにもミラン(イタリア)を1-0で破り4度目の優勝を果たした。その後、現在までCLノックアウトステージ進出の常連となっている。

ちなみに今2022/23シーズンのCLでは、リバプール(イングランド)、ナポリ(イタリア)、レンジャーズ(スコットランド)を含むグループAに組み込まれ、現在3位(2023年3月17時点)の状況だ。一方で、エールディビジ(オランダリーグ)では、現在18クラブ中第2位にランキングしている。


元アヤックス MFエドガー・ダービッツ 写真:Getty Images

欧州に広がるアヤックスの選手たち

アヤックスが最後にCLを制した1995年、オランダ代表はほぼアヤックスの選手で構成されていた。GKエドウィン・ファン・デル・サール(1995-2008)、DFマイケル・ライツィガー(1994-2004)、DFフランク・デ・ブール(1990-2004)、DFダニー・ブリント(1986-1996)、MFロナルド・デ・ボア(1993-2003)、MFエドガー・ダービッツ(1992-2005)、MFクラレンス・セードルフ(1994-2008)、FWパトリック・クライファート(1990-2004)、FWマルク・オーフェルマルス(1993-2004)といった顔ぶれで、9名が全てアヤックスの選手だった。

また同クラブのアカデミー卒業生達は、国内クラブに所属後、高確率で他欧州諸国のトップリーグクラブへ移籍を果たしてきている。つまりアヤックスはオランダ国内で成績優秀選手を最も多く育成し、EU圏内トップクラブへ輩出している。その優秀ぶりは2012年時点で最高クラスとされた。

現在もその流れが続いており、2022年10月発表のアヤックス公式ニュースでは、アカデミーを卒業した81名もの選手達がヨーロッパのトップの大会で活躍し、その数は欧州諸国で最高峰であり2年連続で1位とのことだ。

更にはオランダ国外でのアカデミー開設にも力を入れていて、2011年にはギリシャに、国外初のアヤックス・ヘラス・ユース・アカデミーを開校。以降ギリシャとキプロスで、合計15のユースアカデミーを開催している。2021年には、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにプライベートアカデミーを開設。主に5歳から15歳までの少年少女を対象にした育成施設で、同クラブ専属常駐コーチ3名により主にトレーニングに重点を置いたプログラムとなっているようだ。

Previous
ページ 1 / 2

名前:Molly Chiba
趣味:自然散策、英国のあれやこれやをひたすら考えること
好きなチーム:トッテナム・ホットスパーFC

東北地方の田園に囲まれ育ちました。英国のフットボール文化や歴史、そして羊飼いやウールなどのファッション産業などに取り憑き、没入している日本人女性です。仕事のモットーは、伝統文化を次世代に繋ぐこと。

筆者記事一覧