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アルゼンチンの奇才GKカルロス・モントーヤのユニフォーム伝説

GKカルロス・モントーヤ 写真:Getty Images

サッカーのユニフォームは、ある意味神聖とも言える必須のアイテムだ。そのデザインにはクラブの願いが込められていたり、選手の強さやスピードが表現されていたり、そして時には国を象徴するものとして存在している。

ここでは、1990年代半ば、そんなユニフォームに「自分自身をデザインとして採用する」という偉業を成し遂げた、1人の個性溢れるゴールキーパーを紹介しよう。元コロンビア代表で、かつてアルゼンチンのボカ・ジュニアーズで活躍したGKカルロス・モントーヤ(2009年引退)である。


ボカ・ジュニアーズ 写真:Getty Images

GKカルロス・モントーヤとは?

アルゼンチンのスターGKカルロス・モントーヤが、誰もが二度見をしてしまうであろう奇抜なデザインのユニフォームを着用していたのはご存知だろうか。まずはそこに至るまでの経緯から辿ってみたい。

1984年、18歳の頃にアルゼンチンのブエノスアイレスに拠点を置くベレス・サルスフィエルド(アルゼンチン1部/プリメーラ・ディビシオン)でプロデビューを果たしたモントーヤ。母国コロンビアのインデペンディエンテ・サンタフェ(コロンビア1部/カテゴリア・プリメーラA)など、他いくつものクラブに在籍した。

1986年には、第13回目のFIFAワールドカップ・メキシコ大会にはコロンビア代表として選抜され、予選大会に3度出場するなど、80年後半から90年代にかけて黄金時代が続いた選手である。なかでも最も輝いていて、そのユニフォームの伝説が生まれたのが、1988年から1996年まで8年間在籍したボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン1部)時代であった。


自身をデザインした強烈ユニフォーム

最も輝かしいボカ・ジュニアーズに所属した時代(1988-1996)。モントーヤの試合出場数は通算400回で、クラブ歴代最多出場第5位の記録となった。1994年にはアルゼンチン年間最優秀選手賞を受賞する、紛れもないスター選手になっている。そしてGKとしての能力はもちろんのこと、同クラブでは別の才能も引き出されることになった。

1995/96シーズン、同クラブのユニフォーム製造元だったOlan(オーラン)のデザイナーと共に、モントーヤは非常に奇抜なGKユニフォームをデザインし、完成させたのだ。それが現在でも語り継がれるほどに、インパクトの強いサッカーのユニフォームの概念を覆すものだったのである。

強烈な色彩と、アメリカンコミックのようなコミカルさ。そしてなんと、モントーヤ本人がシャツの中に登場しているのだ。是非検索してデザインをよく見て欲しい。ユニフォームの中央に配置されている、誰にも止められない勇ましすぎる勢いで巨大なトラックを爆走させている運転手は、何を隠そう当の本人だ。これが様々な話題を呼んだ。

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名前:Molly Chiba
趣味:自然散策、英国のあれやこれやをひたすら考えること
好きなチーム:トッテナム・ホットスパーFC

東北地方の田園に囲まれ育ちました。英国のフットボール文化や歴史、そして羊飼いやウールなどのファッション産業などに取り憑き、没入している日本人女性です。仕事のモットーは、伝統文化を次世代に繋ぐこと。

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