Jリーグ

もう大型補強だけでは勝てない?神戸、岐阜、南葛にみるチーム強化の難しさ

FC岐阜 DF宇賀神友弥 写真:Getty Images

J3岐阜の補強と現状

2019年までJ2リーグで戦っていたFC岐阜は、早期のJ2復帰を目指したものの2年続けてJ3リーグで6位止まり。そして今2022シーズンも、期待したようには送れていない。

宇賀神友弥(前浦和レッズ)、田中順也(前ヴィッセル神戸)という元日本代表選手、J3で実績のある藤岡浩介(前テゲバジャーロ宮崎)、ンドカ・チャールス(前Y.S.C.C.横浜)らを獲得し注目を集めたが、開幕から勝ったり負けたりが続き、第6節から3連敗したところで監督交代。三浦俊也監督から、ヘッドコーチを務めていた横山雄次監督へとバトンタッチとなった。

堅実なチーム作りに定評のあった三浦俊也前監督は、ベトナム代表やホーチミン・シティ(ベトナム)を率いてはいたものの、Jリーグのクラブを率いるのは11年ぶり。戦術面でのJリーグの進歩はめざましく、長期間空いてしまうと難しさがあるのではないだろうか。


南葛SC MF稲本潤一 写真:Getty Images

KSL南葛の補強と現状

世界中に多くのファンを持つサッカー漫画『キャプテン翼』の原作者、高橋陽一氏がクラブのオーナー兼代表を務めていることで有名な南葛SC。「葛飾からJリーグへ」を掲げ、近年急速に力を付けてきたクラブだ。

2015年までは東京都3部に所属していたが、昇格を繰り返し、2022年ついにJFL一歩手前の関東1部リーグまで上がってきた。そして稲本潤一、今野泰幸、関口訓充、伊野波雅彦と元日本代表4選手など、Jリーグでプレーした選手を数多く獲得している。

関東1部は全国の地域リーグの中でもレベルが高いことは間違いないが、南葛は上位争いに割って入るかと思われた。ところが前期第1節から3戦連続引き分けなど、5戦を終えて勝ちなし。まだ消化試合数は少ないとはいえ、望んでいた結果とは大きく異なっているはずだ。


Jリーグ 写真:Getty Images

この潮流は日本サッカー成長の証?

もちろん過去の大型補強がすべて失敗だったわけではない。Jリーグが誕生したばかりの頃は各クラブが世界的な選手を積極的に獲得し、そのうちの大多数がチーム力を押し上げるような活躍をみせた。ただ近年は、期待した成果が出ない例が増えている。昨2021シーズン前に数多くの即戦力を獲得した清水エスパルスも記憶に新しい。こちらも同シーズン14位と、期待したような結果は出せなかった。

これは、Jリーグをはじめとする日本サッカー界が個の力でどうにかできるレベルではなくなってきたということではないだろうか。

川崎フロンターレ(2017、2018、2020、2021)、横浜F・マリノス(2019)と近年シャーレを掲げたクラブは明確な方向性があり、それに適した選手をピンポイントで獲得している。またはサガン鳥栖のように、活躍した選手が引き抜かれても方向性に合う選手で穴埋めし、個々の強みを最大限発揮させ組織として対抗するチームも近年安定した成績を残している。もちろん個の力は重要だが、明確なスタイルや組織力があってこそ最大限の力を引き出せると言えよう。

ヴィッセル神戸、FC岐阜、南葛SCというクラブは、他にはない強烈な個を保有している。長期的な方向性、それに合った指導者、そして我慢強さを揃えられれば、驚くべき変貌を遂げ得るだろう。3クラブの数年後は、果たして。

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名前椎葉 洋平
趣味:サッカー観戦、読書、音楽鑑賞
好きなチーム:アビスパ福岡、Jリーグ全般、日本のサッカークラブ全般

福岡の地から日本サッカー界を少しでも盛り上げられるよう、真摯に精一杯頑張ります。

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