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もう1つのチャンピオンズリーグ。全国地域サッカーCLの魅力とは

全国地域サッカーCL2021決勝ラウンド会場、味の素フィールド西が丘 写真提供:Gettyimages

今年も、チャンピオンズリーグ(CL)が行われる時期がやってきた。と言っても多くの方が思い浮かべるであろう「UEFAチャンピオンズリーグ」のことではない。日本において、JFL(日本フットボールリーグ)昇格をかけて争われる「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ」である。2021年度は11月12~28日にかけての開催が予定されている。

「なんだ、下部リーグの話か」と思われた方もいるかもしれないが、下部リーグと侮るなかれ。毎年インターネット上でのライブ配信があるため、どこに住んでいる方であっても気軽に視聴可能。2021年大会配信についても、例年通りJFA(日本サッカー協会)のサイトから視聴ページへのリンク準備されているのが確認できる。Jリーグでプレーしていた選手も数多く出場するこの大会は、日本サッカーを愛する者であればあるほど興味を持って頂けるに違いない。


明治安田生命Jリーグ 写真提供:Gettyimages

日本サッカー界の、社会人年代の仕組み

これは多くの方がご存じだろうが、サッカー界には昇降格という制度が存在する。簡単に言うと、優秀な成績を残すと上の舞台で戦えるようになり、成績が優れないと下の舞台で戦わなければならなくなる、というものだ。

日本サッカー界のピラミッドにおける頂点はJ1リーグ。これを1部リーグとして、その下にJ2リーグ(2部リーグ)、J3リーグ(3部リーグ)がある。ここまでをJリーグと呼ぶ。これより下にももちろんカテゴリーは存在しており、JFLが事実上の4部リーグ。ここまでが全国リーグで、これより下は地域や県ごとに分かれて戦っている。

事実上の5部リーグとなる地域リーグは、全国を9つの地域に分け、それぞれのリーグで8~12のチームが総当たりのリーグ戦を繰り広げている。この地域リーグからJFLへの昇格をかけた大会が、全国地域サッカーCLなのである。

ちなみに全国地域サッカーCLは知らなくとも「地決」なら聞き覚えがあるという方もいるのではないだろうか。2015年度までは全国地域サッカーリーグ決勝大会という名称で「地決」という略称が定着しており、大会名が変わったあとも「地決」と呼ぶ人が後を絶たない。実際に、これまで地域リーグでプレーしている選手を何人か取材してきたが、この舞台で戦う選手でさえもほぼ全員が「地決」と呼んでいた。


JFA 写真提供:Gettyimages

なぜ、全国地域サッカーCLはコアなサッカーファンを惹きつけるのか

過酷な戦いであればあるほど、それを見ている人は応援する気持ちが強くなる。全国地域サッカーCLは「日本一過酷な大会」とも言われ、なおさらファンを惹きつける。この大会の厳しさには主に2つの面がある。

1つは、JFL昇格までの道のりの険しさだ。所属しているリーグで優勝すれば昇格できるカテゴリーが多いなか、地域リーグからJFLへの昇格は異なっている。各地域リーグで優勝、もしくはそれに近い成績を収めた計12チームがこの大会に出場し、JFLへたどり着けるのはそのうちの2チームのみ。地域リーグで何度優勝したとて、全国地域サッカーCLを勝ち抜けなければJFLで戦えないのだ。

例えば、Jリーグを目指し北信越フットボールリーグで戦う福井ユナイテッドFC。今回大会にも出場するこのチームは、前身のサウルコス福井を含め所属する北信越フットボールリーグでは5連覇中。ここ10年間で9度の優勝と圧倒的な強さをみせているのだが、それでも全国地域サッカーCLを突破できずに昇格できていない。

そしてもう1つは、日程面の過酷さだ。2021年度は11月12~14日に1次ラウンド、11月24日、26日、28日に決勝ラウンドが行われる。1次ラウンドも決勝ラウンドも4チームの総当たりで行われるのだが、1次ラウンドの日程は3日間。

Jリーグなどを観ている方ならご存じだろうが、中2日でも選手のパフォーマンスは落ちる。にもかかわらず、中0日で3連戦。これを突破すると決勝ラウンドだが、ここも中1日で3試合を戦うこととなる。

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名前椎葉 洋平
趣味:サッカー観戦、読書、音楽鑑賞
好きなチーム:アビスパ福岡、Jリーグ全般、日本のサッカークラブ全般

福岡の地から日本サッカー界を少しでも盛り上げられるよう、真摯に精一杯頑張ります。

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