
欧州で開催中のユーロ2020(UEFA EURO 2020/欧州選手権)は、日本時間7月4日に準々決勝が終了し、遂にベスト4が出揃った。7日より準決勝がスタート。いよいよクライマックスを迎えようとしている。
1ヶ月に渡る熱戦が繰り広げられた今大会も残すところあと3試合(決勝は日本時間12日4時から)。見事ベスト4に駒を進めたスペイン、イタリア、デンマーク、イングランドの4カ国について、ここまでの戦績とともにご紹介したい。

スペイン(グループE:2位)
準決勝までの道のり
- グループステージ1節:スウェーデン:0-0:△
- グループステージ2節:ポーランド:1-1:△
- グループステージ3節:スロバキア:0-5:◯
- ラウンド16:クロアチア:3-5:◯ ※延長戦の末勝利
- 準々決勝:スイス: 1-1:◯ ※PK戦の末勝利
スペインのベスト4進出までの道のりは、決して順風満帆ではなかった。グループステージでは1勝2分、ラウンド16、準々決勝では延長戦にもつれ込む戦いと波に乗れない印象が伺えたが、試合内容はかなり充実しており、ただスコアに如実に現れていないだけだと考える。高いボール支配からゲームをコントロールし、今大会ここまで、ゴール数・チャンスクリエイト数・1試合あたりシュート数ではトップの成績を残している。
また試合をこなすにつれてチームを正しい方向へチューニングしたルイス・エンリケ監督の手腕は大いに評価されるべきだと考える。4-3-3の基本フォーメーションは変えずに戦況に応じて選手を配置し、最高のパフォーマンスを実現しようとする姿勢が今回のベスト4進出を促したと言えるだろう。
気になる点として、決勝トーナメントの2試合をすべて120分間戦ったことで蓄積される疲労度がどこまで影響を及ぼすか。また、ここまで数多くの決定機を逃しているFWアルバロ・モラタが準決勝以降覚醒するかが鍵を握るだろう。

イタリア(グループA:1位)
準決勝までの道のり
- グループステージ1節:トルコ:0-3:◯
- グループステージ2節:スイス:3-0:◯
- グループステージ3節:ウェールズ:1-0:◯
- ラウンド16:オーストリア:2-1:◯ ※延長戦の末勝利
- 準々決勝:ベルギー:1-2:◯
今我々が目にしているアッズーリ(イタリア代表の愛称)は、いまだかつて見たことのないチームではないだろうか。「カテナチオ(イタリアで流行した堅守速攻の戦術)」と言われたように徹底した守備で試合を制する先入観は排して、今大会は注目することをおすすめしたい。各国リーグの強豪クラブでプレーする優秀なMFを揃えて洗練された中盤を構成し、試合を支配することはもちろんダイナミックな攻撃に転じるイタリアのメソッドで得たベスト4は当然の結果と言及することができる。
2018年のロシア・ワールドカップの出場を逃した悔しさをバネに復権を託されたロベルト・マンチーニ監督の下、イタリアは大躍進している。準々決勝のベルギー戦で勝利したことにより、国際Aマッチ32試合無敗、さらに連勝を13試合にまで伸ばした。
勝負強さの秘訣は「決してブレることのないゲーム運び」であると考えられるが、あまりにも分厚い「選手層」も一因であると考える。延長戦にもつれ込んだラウンド16のオーストリア戦では、後半に交代出場でピッチに投入されたFWフェデリコ・キエーザ、MFマッテオ・ペッシーナがそれぞれ延長前半にゴールを決め難しい試合を制した。勢いがあるとともに、有能な選手たちがベンチにも揃っているアッズーリに目が離せない。
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