プレミアリーグ

Dr.TRIBE【試合診断書】 プレミアリーグ第6節 フラム対ワトフォード

大会:プレミアリーグ
カード:フラムvsワトフォード
スコア:1-1
担当医:ペペ土屋( @PPDOLPHINS
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):アレクサンダル・ミトロヴィッチ

類まれなフィジカルの強さを活かした空中戦で多くのチャンスに絡み、最前線へのロングボールをことごとくおさめて、攻撃の基点となった。機動力もあり、サイドに流れてチャンスメイクしたり、同点弾の場面では素早くポジションをとって相手DFとの駆け引きに勝った。

ザ・ハード・ワーカー(THW):ウィル・ヒューズ

確かな予測と献身的な守備で右サイドに安定感をもたらした。先制点をもたらしたアシストは彼の冷静さを示すものだった。右サイドのハーフスペースでボールを引き出してヤンマートの攻め上がりを促し、対峙したセセニョンにとって問題であり続けた。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):アルフィー・モーソン

序盤から不安定でミスが多く、全く試合に入り切れていなかった。ヒューズへのチャレンジはPKが妥当であり、ラッキーだった。前半でピッチを退いたのも納得のパフォーマンス。


フラムの攻撃vsワトフォードの守備

フラム:ビルドアップは6番のマクドナルドがCB間に下がって3vs2を作り、相手2トップの間からパスを受けられる位置に、24番のセリが顔を出す。両SBのスタート位置はそれほど高くない。

後半に入りシステムを4-2-3-1に変更。ビルドアップもセリと8番のヨハンセンは最初からCB間に落ちることはなかった。

14番のシュールレと19番のビエットにボールが入ると攻撃のスイッチも入る。3トップの1枚が裏を狙って相手DFラインを深さを作り、そこへボールを入れるか、サイドに振ってクロスボールで9番のミトロビッチを狙う。

ワトフォード:4-4-2のコンパクトなブロックを敷いて、危険な中央にボールを入れさせない守り方。CMの16番ドゥクレと29番カプエはフィジカルが非常に優れており、脚のリーチも長く、守備範囲が広い。

パス出しの基点となるセリには基本的にはドゥクレが前に出て対応し、カプエはその後ろをカバー。横へのスライドも早く、SMFはしっかりと相手SBの攻め上りに対してついていく。


ワトフォードの攻撃vsフラムの守備

ワトフォード:ロングボールを9番のディーニーめがけて蹴り込み、そのこぼれ球を18番のグレイが拾ってゴールに迫るのが狙い。遅攻になった際はカプエがサイドにボールを散らし、相手の守備ブロックをずらす。

両SMFはハーフスペースにポジションをとり、攻めあがってきたSBとともにサイドで数的優位を作ろうと試みる。そこからのクロスや、ゴールライン際までえぐってからのプルバックでチャンスを作る。

フラム:4-3-3ブロックを敷いて、両WGは相手SBの攻め上がりに最後まではついていかず、攻め残りする。中盤3枚がスライドして相手SMFやSBに対応するが、その脇でボールを持って前を向かれたときにピンチを迎えた。

後半から4-2-3-1にオーガナイズを変更し、守備時はSMFが戻ってくるように修正し、相手2トップもCMとCBで挟み込める状況を創り出した。


フラム監督:スラビシャ・ヨカノビッチ

後半から2人の選手を代えて人の配置も変更。3枚目の交代カードも64分に切るなど、強気で先手を取り続けた。彼の修正の甲斐があり後半は完全に主導権を握ってどうにか同点まで持ち込むことができた。

魅力的な3トップを有するクラブだけに、彼らをどのように活かすのかが今後の課題になるが、今のところ十分機能していると言えるだろう。もう少し時間が経てば、自然と連携面も向上するはずだ。


ワトフォード監督:ハビ・グラシア

2分に早々と先制点を奪ったものの、アウェイでその1点を守り切ることができずに、勝ち点1を得るのみに終わった。後半から変化を加えてきたヨカノビッチ監督に対して、これといった動きを見せず、前半好調だったヒューズやペレイラを結果的に透明人間にしてしまった。

印象的なスタートを切ったワトフォードだったが、早くも天井が見えた感は否めない。もう少しオプションの数が欲しいところだ。


主審:マーティン・アトキンソン

前半、ミトロビッチがビエットの折り返しに反応し、ボックス内でカバセレと接触したシーンがあったが、そのまま走ってもボールには届かなかったことを考えれば、PKを獲らなかったのは正しい判断だろう。しかし、フォス=メンサーにイエローカードを提示したファウルはレッドカードでもおかしくなかった。さらにヒューズに対するモーソンのチャレンジにはPKを与えるべきだった。