プレミアリーグ マンチェスター・シティ

名将グアルディオラがマンチェスター・シティで向上させた5つのこと

2016年にマンチェスター・シティの指揮官に就任したジョゼップ・グアルディオラ。就任1年目は無冠に終わったが、2年目はリーグとリーグカップの二冠を達成。チームを急激に成長させた。3年目となる今季もリーグ戦2連勝スタートと盤石の強さを見せている。そこで今回はグアルディオラがシティの監督に就任して以降、どのようなことを行なったのかを振り返りたい。

『sportskeeda』が特集した「グアルディオラがマンチェスター・シティで向上させた5つのこと」をご紹介する。

選手の能力を向上させた

2016年にグアルディオラがマンチェスター・シティへ到着する前、クラブは大きな問題を抱えていた。チームの平均年齢はプレミアリーグ最高齢(30.5歳)。前指揮官ペジェグリーニのもとで老朽化が進み、最後の2シーズンは明確なスタイルを示せず。年齢に対する懸念が増幅している状況であった。

しかし、出会った選手の才能を引き出すことで問題を改善した。グアルディオラ就任前のラヒーム・スターリングは迷子のように見え、ダビド・シルバはボールを配給出来ず。ヤヤ・トゥーレは衰えを見せ始め、ニコラス・オタメンディは冗談のようなプレーに終始。ファビアン・デルフは試合に出場することすらままならなかった。

しばらく時間はかかったが、昨季のスターリングはリバプールへ移籍金5000万ポンド(約97億円)を支払った価値があったと証明する活躍を見せた。オタメンディはリーグ最高のDFの一人に選出され、ダビド・シルバは魔法を再び操った。デルフはメンディの負傷により、左SBにコンバートされ、ロシアワールドカップのイングランド代表に選出されるまで成長。

グアルディオラの功績は成績だけでない。選手を大きく成長させたことも評価に値する。

余剰戦力への無慈悲さ

グアルディオラは就任1年目、チームにどれだけの無駄があるかを指摘した。SD(スポーツディレクター)アイトール・ベギリスタインとの関係はうまくいっているようだが、ペジェグリーニ政権時のスカッドに対しては疑問を呈している。

就任1年目、現有戦力のクオリティを上げるために多くの施策を講じた。例えば、アレクサンダル・コラロブをCBへコンバートし、フェルナンドにはプレータイムを与えた。ヘスス・ナバスは右SBで起用した。しかし、彼らはチームが必要とするクオリティを発揮できなかった。

グアルディオラはこれまでもロナウジーニョ、サミュエル・エトオなどのスター選手を容赦なく放出している。バルセロナ時代と同様にシティ就任2年目でウィリー・カバジェロ、バカリ・サニャ、コラロブ、ガエル・クリシー、ナバス、フェルナンドなどの選手を無慈悲に放出している。

1回の移籍市場でチームの平均年齢は劇的に改善。28.4歳から26.8歳と若返りに成功した。その結果、昨季はスピード、コンディション、インテリジェンスが向上。指揮官の指示を正確に実行出来るようになり、リーグ優勝を果たした。

人心掌握

これはグアルディオラがシティの監督に就任して以降、最も改善した分野の一つだ。それが結果に表れている。

就任前は本来の実力を発揮できていないトップレベルの選手が目立っていた。彼はトレーニング場で選手のモチベーションを引き出し、選手を助け、チームのプレーを向上させている。

一番の成功例はラヒーム・スターリングだろう。リバプールから移籍するという「大胆な」決断を下したことで、常にメディアから強烈なプレッシャーに晒された。クラブでも代表でも徹底的にプレーが分析され、ミスをすれば過剰な批判を受けていた。そんなスターリングをグアルディオラは大切に扱った。選手に自信を与えたのだ。その結果、昨季キャリアハイとなる18ゴールをマークするなど著しく成長を遂げた。

ダビド・シルバも昨季は家族の問題を抱えた。息子が極度の早産となり、未熟児の状態で誕生。グアルディオラはチームからの離脱を許可し、家族に寄り添うことを勧めた。シルバは復帰後、指揮官に対して絶大な信頼を寄せ、ピッチ上でも素晴らしい活躍を見せている。

オタメンディもグアルディオラ就任前はとても苦労していた選手だ。移籍金3200万ポンド(約45億円)に見合う活躍は全く見せられず批判に晒されていた。就任1年目は悲惨なままだったが、2年目には大きく成長。プレミアリーグのベストイレブンに選出されるまでの地位を築いている。

明確なスタイルをもってプレー

おそらく、グアルディオラがシティの監督に就任して初めに取り掛かったことは物事を整理することだったはずだ。グアルディオラは素早いパス、戦術理解能力、ボールコントロールに重点を置いており、それがチームのベースであり哲学となっている。それに適応できない選手はチームに必要がない。

現役イングランド代表であったGKジョー・ハートを放出した当時は批判されていた。代替として獲得したクラウディオ・ブラーボがミスを連発したことも影響しているだろう。ただ、今ではその判断が正当化されている。2年目にエデルソン・モラレスという哲学に適応する選手がようやく到着したことでその意味が理解されるようになったからだ。

ジョン・ストーンズが2016/2017シーズンに多くの重大なミスを犯して批判を受けた時、グアルディオラは矢面に立ち擁護した。その結果、2017/2018シーズンは大幅にプレークオリティを改善された。

マンチェスター・シティの全選手は指揮官が何を望んでいるのか、どのような試合を進めたいのか、どのような役割があるのかを明確に理解するようになった。セルヒオ・アグエロのような伝説的な実績を持つストライカーでさえも、グアルディオラが描くスタイルに適応。驚異的な成績を残し続けている。

獲得した選手はほとんど成功

グアルディオラがシティで獲得した選手はほとんど成功している。マンチェスター・ユナイテッドの混乱とは異なり、長期的な計画を念頭において選手が獲得されている。

就任1年目にはジョン・ストーンズ、マヌエル・ノリート、クラウディオ・ブラーボ、イルカイ・ギュンドアン、レロイ・サネ、ガブリエル・ジェズス(1月)を獲得。ノリートとブラーボは早い段階で失望する結果となった。

就任2年目にはエデルソン・モラレス、カイル・ウォーカー、バンジャマン・メンディ、ダニーロ、ベルナルド・シウバ、アイメリク・ラポルテを獲得。

就任3年目はリヤド・マフレズのみを獲得。獲得した選手のほとんどが現在の主力選手として活躍し、若手はチームの活力に、ベテランは経験を提供し、強力なスカッドを形成している。マンチェスター・シティはビジネス的に見ても成功しており、リーグの絶対的な存在として君臨するかもしれない。