ワールドカップ

W杯決勝のVAR判定が明らかにした、ハンドの基準を明確化する必要性

 先週末幕を閉じたロシアワールドカップは、強豪国の早期敗退やダークホースの躍進、新たなスターの誕生など、新たな時代の到来を予感させる要素の多い大会となった。ビデオアシスタントレフェリー(VAR)の導入も、間違いなく大きな変化をもたらした要因のひとつだった。

 既にセリエAやブンデスリーガで試験運用されてきたVARだが、注目度が桁違いの大舞台ワールドカップでの導入は今大会が初めてであり、ある意味では世界に対するお披露目の場となった。

 結果として特にグループステージではVARを使用した判定によるPKが相次ぎ、大会全体でのPK数は29に上った。これは前回のブラジル大会を16も上回る数字だ。

 これまで見逃されてきたファウルが映像により確認されるため、PKの増加自体は驚くべきことではないが、それでも倍以上というのはVARが試合と大会そのものにもたらした影響がいかに大きかったかを示している。

 しかしVARの導入によって、主審の判定に対する疑問や議論がなくなるという結果にはならなかった。フランス対クロアチアの決勝戦、フランスの2点目となったPKの判定がそのいい例だろう。フランスのコーナーキックはイバン・ペリシッチの左手に当たり、アルゼンチン人のネストル・ピタナ主審はピッチ脇で映像を確認した末にファウルの判定を下した。

 試合の行方を大きく左右したこの判定は、大きな議論を呼んだ。アメリカ『ESPN』のアンケートでは「ペリシッチのハンドによるPKは正しい判定だったか」との問いに、53%がイエス、47%がノーと答え、意見は真っ二つに分かれている。

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