ブンデスリーガ 海外日本人選手

苦難の時を乗り越えてドイツで新シーズンに臨む3人の日本人選手

著者:マリオ・カワタ

 ワールドカップに出場した選手たちが休暇を過ごす一方、ヨーロッパの各クラブは既に新シーズンに向けて始動している。ドイツでは2部降格や代表落選、怪我などの苦難の時を乗り越えた3人の日本人選手が、新シーズンを見据えて準備を進める。

 ハンブルガーの伊藤達哉は昨季ブンデスリーガでブレイクを果たし、最優秀ルーキー賞にもノミネートされる一方でチームは史上初の2部降格を味わった。最短での1部復帰を実現するため、何人かの主力選手がチームを去った今季は主軸としての活躍が期待される。ブンデスリーガ2部は8月上旬に早くも開幕を迎えるため、プレシーズンの調整も急ピッチで進んでいる。

 先週土曜日にはオーストリアのラピード・ウィーンとの練習試合が行われ、先発出場した伊藤は新シーズンの活躍を予感させるパフォーマンスを見せた。前半にはキッカーを務めたショートコーナーからペナルティエリア内にパスを通して先制点に絡み、同点に追いつかれた後半はショートカウンターからルイス・ホルトビーのパスをゴール前で押し込んで、自ら得点を挙げている。チームはこの2得点でCSKAモスクワ戦に続く連勝を達成。伊藤をセカンドチーム時代から指導するクリスティアン・ティッツ監督も「3週間準備をしてきて、現在の状況には満足している」と語り、順調に新シーズンに近づいている。

 伊藤は昨季終了後のトゥーロン国際大会にU-21日本代表の一員として招集されながら、怪我のため参加はできなかった。2部の舞台では自慢の個人技を披露するだけでなく、自身のゴールも含めて多くの得点に絡むことが期待される。小柄なドリブラーは2年後の東京オリンピックのスター候補であるだけでなく、昨季を上回るパフォーマンスを見せられればA代表に招集される日も遠くないだろう

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