Jリーグ サンフレッチェ広島

異例の展開を見せるJ1。欧州ビッグクラブを上回る広島の独走ぶり

 15日の湘南ベルマーレ戦をパトリックの2得点で制し、J1の首位を快走するサンフレッチェ広島は2位ベガルタ仙台との勝ち点差を7に広げた。もちろんまだリーグ全日程の4分の1未満を消化したにすぎないが、J1でシーズン序盤にこれだけの大差をつけて独走するチームが現れるのは珍しい。過去のシーズン、そして欧州のトップリーグと比べてみると、その成績がJ1史上最高のスタートダッシュと呼ぶにふさわしいものであることが分かる。

 2ステージ制を廃止した2005年以降(2015~16年を除く)の成績を見ると、開幕8試合での勝ち点22(7勝1分)は2005年の鹿島アントラーズ、2012年のベガルタ仙台と並んで最多だ。しかし2位との差を比較すると鹿島は勝ち点5、仙台は勝ち点6となっており、広島は8節終了時点の成績で最も優位に立っていることになる。

 もちろん序盤戦での好調はリーグ優勝を保証するものではない。上述の過去11シーズンで第8節終了時点で首位に立っていたチームのうち、優勝を果たしたのは2006年の浦和レッズ、2009年の鹿島、2011年の柏レイソルの3チームしかない。勝ち点5のリードがあった2005年の鹿島は最終的に3位、勝ち点6のリードがあった2012年の仙台は2位でともに優勝を逃している。

 極端な失速の例としては2013年の最初の8試合で勝ち点20を稼ぎ首位に立っていた大宮が14位まで下降したほか、2014年の神戸も11位のフィニッシュとなった。ちなみに広島が優勝した3シーズンを振り返ると、2012年は勝ち点16、2013年は勝ち点14、2017年は勝ち点17でいずれも首位には立っていなかった。

 8試合2失点の鉄壁の守備と安定感に加えて、広島が大きくリードしているもう一つの理由が他クラブのスロースタートだ。仙台の勝ち点15は第8節終了時の2位チームのポイントとしては2017年と並んで1シーズン制では過去最低であり、他の年では2位のチームが勝ち点19を稼いでいることも珍しくない。昨季王者の川崎フロンターレはここ4試合勝ちなし、同様にACLを並行して戦うセレッソ大阪、鹿島アントラーズ、柏レイソルも開幕直後に勝ち点を稼ぐことができておらず、優勝候補のつまづきが広島の好調ぶりを目立たせる要因になっている。

Previous
ページ 1 / 2