ブンデスリーガ 海外日本人選手

日本代表の切り札になる可能性を秘めた「ハンブルガーの小さな魔法使い」伊藤達哉

 「ハンブルガーの小さな魔法使い」。それが7日のシャルケ戦後、ハンブルクの地元紙『ハンブルガー・モルゲンポスト』が163cmの小柄な日本人につけたあだ名だ。今季7度目の先発を果たした伊藤達哉は現在ブンデスリーガで2位につけるシャルケの守備陣を手玉に取り、予想外の3-2の勝利の立役者の一人となった。

 最大の見せ場は1-1で迎えた52分。左サイドでボールを受けた伊藤は一瞬のスピードで対面の相手を抜き去ると、慌ててスライディングに入ったドイツ代表MFレオン・ゴレツカも鋭い切り返しで交わしてゴール前にボールを送る。MFルイス・ホルトビーのシュートは一度はGKに防がれたためアシストこそ付かなかったが、貴重な逆転ゴールを生み出した。

 このプレーに同僚DFリック・ファン・ドロンヘレンは「あれは完璧だった。ほとんどメッシみたいだった。彼はリオネル・イトウと呼ばれるべきだね」と冗談を飛ばしているが、伊藤が驚かせたのは味方選手だけではない。

 シャルケのデメニコ・テデスコ監督は「伊藤は素晴らしかった。我々はあの若者を捕らえることができなかった」と試合後に語っている。90分を通して相手を翻弄し続けた20歳の日本人選手をこの試合のマンオブザマッチに選出したドイツ誌『キッカー』は、「ハンブルガーのサイドのつむじ風、伊藤達哉はほとんど動きを止めることがなかった」と評している。

 背番号43のプリントされたユニフォームが一時的に完売したほどのパフォーマンスには、伊藤本人も「ユースやU-21では他にも良い試合がありましたが、ブンデスリーガでは僕の今までで最高の試合だと思います」と満足感を示している。

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