遂にアーセン・ベンゲルのアーセナルでの時代が終わろうとしている。いつもの背中を丸めて不安そうな顔つきの彼の姿がないベンチを想像するのは、寂しいものだ。しかし物事は移り変わるものだし、その遺産を先に繋ぐためには彼はなるべく早く去るべきだろう。
毎年のようにポテンシャルを満たすことが期待されながら失敗が続き、エミレーツ・スタジアムの状況は危険なものになった。昨季はトップ4を逃し、今季は6位でのフィニッシュさえ危ぶまれている。将来の見通しが立たない中でベンゲルの後継者候補が挙げられているが、その中の一人がブレンダン・ロジャーズだ。
元リバプール監督は当然の候補者という訳ではなく、アーセナルの監督就任の噂に一部からは嘲りの声も上がった。たしかにカルロ・アンチェロッティのような経験豊富な指揮官、あるいはレオナルド・ジャルディムら海外の若手戦術家ほどの魅力はないかもしれないが、ロジャーズは多くの点で重要な条件を満たしている。
現在のベンゲルのチームについてファンが残したいと思っている点があるとすれば、それはエンターテインメント性だろう。過去の22年間でフランス人監督は、攻撃のDNAを根付かせた。ティエリー・アンリの敵を切り裂く走力、デニス・ベルカンプの絶妙なフリック、セスク・ファブレガスのパスセンスにアレクシス・サンチェスの絶大なエネルギーと、ベンゲルのチームはいつも見るものを楽しませてきた。クリエイティブで切れ味鋭いアタッカーをそろえる現在も、それは変わっていない。
コメントランキング