Jリーグ ガンバ大阪

クルピの愛弟子マテウス・ジェズスがガンバ大阪に加入。ついに井手口の穴を埋められるか

 3連敗という難しいシーズンスタートのあと、ガンバ大阪はレビー・クルピ監督の古巣であるサントスから、20歳のマテウス・ジェズスを獲得することで、巻き返しへの希望を新たにした。彼は可能性を秘めた選手でありブラジルの至宝にもなりえ、U-20ブラジル代表でもプレーした経験を持つ。しかし彼はまた、素行面で問題を抱えており、サントスの新たな監督の下で印象を残すことができず、出場機会が減少していた。とにかく、そんな彼から何を期待できるのだろうか。

 マテウス・ジェズスのキャリアは、フラメンゴのユースチームでスタートした。しかし規律違反を起こしたことで、トップチームに昇格する前に解雇された。そのあと彼は、ポンテ・プレタへ移籍する。そこで自身初のプロ契約を結び、人々の注目を集めることになるのだ。しかし伝えられたところによれば、彼のプロ意識の欠如が将来有望なピッチ上でのパフォーマンスに影を落としたのだという。彼はクラブに存在する時限爆弾だった。そしてポンテ・プレタは彼の人としての成長に見切りをつけて、エストリル・プライアへ売却した。ポルトガルのチームは彼をすぐさま、クルピ監督が率いていたサントスにレンタル移籍させたのだった。

 サントスで、彼はコンディションを整えるのに苦戦し、2017年シーズンの前半戦のほとんどでベンチにすら入らなかった。しかしデビュー時に印象的なパフォーマンスを見せ、10月にはチームのスターになる。さらに、ソーシャルメディア上で多くのファンと交流し、ユーモラスなコメントを投稿することで多くのファンを獲得した。しかし彼の素晴らしい時間は1ヶ月しか続かなかった。累積警告による出場停止の後、彼はベンチに座る機会が増えリーグ戦での出場機会は激減した。

 2018年に入ってもその状況は変わらない。監督が替わってからマテウスは、カンピオナート・パウリスタで4試合しかプレーしておらず、最後に先発した試合では前半だけの出場にとどまった。彼はアンカーとしての役割に挑戦したが、よいプレーはできていない。彼の長所はもう少し前のポジションでプレーすることで発揮される。ブラジルで「セグンド・ボランチ」と呼ばれる、守備に重きを置きながらも攻撃にも参加するポジションだ。典型的な「8番」の役割であり、つまりは過去2シーズンガンバ大阪で最も活躍した選手である、井手口の代役を務めることになるだろう。

 マテウスは長身(187cm)でありフィジカルも強い(80㎏)。球際にも強く、攻撃面で貢献できるだけの才能も有している。そしてパス能力の向上も期待できる。もしもクルピ監督が彼を試合だけに集中させ、能力を十分に引き出すことができれば、ガンバにとって素晴らしい補強になるだろう。

著者:チアゴ・ボンテンポ

1985年生まれのブラジル人ジャーナリスト。サンパウロ在住。幼少期よりスポーツとりわけサッカーを愛する。大学時代にジャーナリズムを専攻し2011年よりブラジル『Globo Esporte』で日本サッカーを担当している。ブラジルのボタフォゴ、アーセナル、そして日本代表の熱烈なサポーターである。将来の夢は日本語を流暢に扱うこと、富士山登頂、Jリーグスタジアムを巡ること。

Twitter: @GunnerTNB