
2026年夏にボルシア・ドルトムントと親善試合を行うことが決まったFC東京。FIFAワールドカップ北中米大会日本代表候補MF佐藤龍之介など、有望株を育成しているが、官報には4月30日付で第28期決算公告が掲載。そこに刻まれた数字は「赤字クラブ」という短絡的な評価を許さない、複雑な実態を映し出していた。
当期純損失は約8260万円。営業損失ベースでも約8307万円と、決して褒められた着地ではない。だが、見るべきは損益だけではない。純資産は約23億6500万円。総資産約34億2600万円に対し、負債合計は約10億6100万円にとどまり、自己資本比率は実に70%程度。Jリーグのクラブ財務としては極めて健全な水準だ。流動負債も約10億1700万円に対し、流動資産は約26億8800万円と手元流動性も十分に確保されている。
利益剰余金こそ約2800万円と薄い。これは一つの懸念材料ではある。とはいえ、このバランスシートが意味するのは明白だ。FC東京は、今すぐ「主力選手を売って移籍金を稼がなければ存続できない」財務状況にはない、ということだ。
佐藤にはスコットランド1部セルティック移籍の可能性が報じられているほか、2026年1月時点でボルフスブルクなど複数クラブからの関心が取りざたされている。仮にこれらが具体化した場合、クラブは「焦りのない交渉」に臨める立場だ。移籍金の叩き売りに応じる理由が、財務上は見当たらない。
売り時を誤れば、市場価値や適正評価を下回る移籍金でタレントを手放すという最悪のシナリオが現実になるリスクもある。選手側の意向を尊重することもあるが、財務の観点からは佐藤をJ1百年構想リーグ終了後に売却する必要性はない。
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