
日本代表は、すでに2026年のFIFAワールドカップ(W杯)出場権を獲得している。そんな中、6月のW杯アジア最終予選は、欧州組を中心とする多くの選手が各クラブで長く厳しい2024/25シーズンを戦い抜いた後に開催されており、森保一監督がその2試合にベストメンバーを揃えない意図を持っていたのは明白だった。
6月5日のアウェイでのオーストラリア戦(0-1)、同10日のホームでのインドネシア戦(6-0)では、招集された27人の顔ぶれに、予想通り見慣れないメンバーが多く含まれていた。そんな中でもリバプール(プレミアリーグ)で昨季優勝を果たしたキャプテンMF遠藤航やレアル・ソシエダ(ラ・リーガ)のFW久保建英、昨季FAカップを制したクリスタル・パレスのMF鎌田大地らレギュラークラスの選手も名を連ねていた。
W杯本大会までまだ1年ある時期に行われたこの2試合は、新たに招集された選手たちにとって、レギュラークラスの選手からポジションを奪う絶好のチャンスでもあった。ここでは、6月招集組の中から、来夏のW杯本大会に向け、森保監督の構想に食い込む可能性がある働きを見せた選手をポジション別に振り返ってみたい。

GK
- 鈴木彩艶(パルマ)
- 大迫敬介(サンフレッチェ広島)
- 谷晃生(町田ゼルビア)
6月の招集でGKには大きな変化がなく安定したポジションに見えたが、オーストラリア戦では谷晃生の不安定さが浮き彫りになった。W杯アジア最終予選で鈴木彩艶のバックアッパーとしてコンスタントにメンバー入りしていた谷だが、最後の最後に自滅した形となった。
スタメン出場を果たしたこの試合で谷は、自らのキックミスからピンチを招きスタンドを冷や冷やさせ、チームに悪い流れを呼び込んでしまった。2024シーズンのJ1においても自らのキックミスから失点を招いたケースがあり、改めて足元の技術の脆さが浮き彫りに。W杯への夢は絶たれたと言っても過言ではないだろう。
EAFF E-1サッカー選手権(旧東アジアサッカー選手権)に臨む日本代表メンバーに選出された早川友基(鹿島アントラーズ)がチャンスを掴む可能性も出てきたのではないだろうか。

DF
- 長友佑都(FC東京)
- 町田浩樹(ホッフェンハイム)
- 瀬古歩夢(無所属)
- 渡辺剛(KAAヘント)
- 高井幸大(川崎フロンターレ)
- 関根大輝(スタッド・ランス)
- 鈴木淳之介(湘南ベルマーレ)
DF陣の中で最も安定した働きを期待できるのは町田浩樹だろう。欧州5大リーグのひとつであるブンデスリーガ(ドイツ)のホッフェンハイムへ移籍したことで、安定感にさらなる磨きがかかることが期待される。
欧州組の瀬古は現時点(7月7日)で無所属ではあるが、直近のW杯予選3試合のうち2試合で先発しており、当落線上と言えるだろう。一方20歳の高井幸大は、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)での活躍を受けてプレミアリーグ(イングランド)へ活躍の場を移す可能性が高く、冨安健洋(無所属)の本大会不在が予想されるDFラインで貴重な戦力となるのは間違いない。
また、ベルギーで活躍する渡辺剛は、ステップアップ移籍が期待されるなか代表戦活動中に怪我で離脱したが、今2025/26シーズンの活躍次第で貴重なバックアッパーとして計算できる選手である。フランス2部に降格したスタッド・ランスの関根大輝は、代表レギュラークラス選手の状況次第で運命が分かれるだろう。
21歳と若い鈴木淳之介も、コペンハーゲン(デンマーク1部)への移籍が噂されているが、よほどの活躍を見せない限り本大会への道は険しいのではないだろうか。
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