
秀逸だった小野瀬と池田の立ち位置
湘南は鈴木淳之介と大野和成の両DFのポジションを入れ替えつつ、センターバックを起点に攻撃を組み立てる。G大阪が[4-4-2]の守備隊形で構えたところ、宇佐美(2トップの一角)の斜め後ろに小野瀬がタイミング良く立ち、味方センターバックからのパスコースを確保。湘南MF奥野耕平(中盤の底)がG大阪の2トップに監視されるなか、小野瀬のこのプレーが同クラブのパス回しのアクセントになっていた。
小野瀬と共にインサイドハーフを務めた池田も、アラーノ(相手サイドハーフ)の斜め後ろに立ち味方センターバックからのパスコースを創出。2失点目の遠因となったボールロストはもったいなかったが、ポジショニングは秀逸だった。

このように相手サイドハーフの両斜め後ろに湘南のウイングバックやインサイドハーフ、及び降りてきたFWが立つと、味方センターバックがボールを運んだ際に複数のパスコースができる。こうなると相手チームが守備の的を絞りにくく、プレスの出足も鈍りやすい。この攻撃配置は継続すべきだ。

湘南が見せてしまった隙とは
チーム全体としての攻撃配置は概ね良かったものの、前半29分に喫した3失点目の直前では、右ウイングバック鈴木雄斗がタッチライン際且つ相手サイドハーフの手前で味方DF大岩一貴のパスを受けてしまっている。これにより鈴木雄斗がアラーノ(G大阪の左サイドハーフ)に寄せられ、ボールを奪われてしまった。
この場面ではアラーノの斜め後ろに立っていた池田が相手最終ライン背後へ走る動きを見せたため、自陣からボールを運んだ大岩としては鈴木雄斗へのパスが無難な選択肢に。一見すると無難なこの横パスが、G大阪の守備や速攻のきっかけとなり、アラーノのクロスボールに反応した岸本に追加点を奪われてしまった。
3バックにおける左右のセンターバックがボールを運んだ際に、味方ウイングバックがタッチライン際且つ相手サイドハーフの手前に立ってしまっている場合は、バックパスをしたうえで逆サイドのセンターバックから攻撃をやり直すのが望ましい。これに加えウイングバックが自陣後方タッチライン際や相手サイドハーフの手前に立たないことを徹底すべきである。ウイングバックの立ち位置が悪いことで、攻撃のリズムを掴めない試合が一昨年から散見されるだけに、湘南としては早急にこの問題を解決したいところだ。
前半35分には、湘南最終ラインの統率が乱れたことでG大阪に4点目がもたらされる。アウェイチームは宇佐美のフリーキックを弾き返したものの、その後自陣ペナルティエリア内で最終ラインが不揃いに。ペナルティエリア内の相手選手をオフサイドポジションに置けなかったうえ、ゴールエリアに立っていたG大阪のDF半田陸にクロスボールが送られると、半田のラストパスに反応したDF中谷進之介にゴールを決められている。自陣ペナルティエリアを守るにあたり、どの選手を基準にどこまで最終ラインを上げるのか。これが曖昧になりがちなのも湘南のかねてからの弱点であり、ここに来て攻守の問題点が噴出した格好だ。
(※)本記事の試合時間は、1分以内の秒数を切り上げて表記。
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