
日本最難関と言われる東京大学を辞め、2022年のFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会優勝国であるアルゼンチンでプロを目指すサッカー選手がSNSで話題となっている。MF煙山拓だ。
22歳の煙山は、2022年9月からアメリカのカリフォルニア州に本部を置くミネルバ大学に在籍。オンラインで授業を受けながら4年間で世界6都市に移り住むカリキュラムの一環として、2024年1月にアルゼンチンに移住した。現地のクラブへの練習参加などを通し、プロを目指してプレーしている。
同選手が1月7日、自身のYouTubeチャンネルで公開された「東大をやめて、なぜ南米アルゼンチンでプロを目指すのか」という動画をSNSに投稿すると「いつの間にかアルゼンチンでサッカー選手目指してるのおもろい。目指せメッシ」というコメントやスペイン語での応援コメントが集まった。
上海に住んでいた5歳の時にサッカーを始め、小学4年生で日本に帰国した煙山は、東京都選抜チームへの選出、バルセロナの下部組織との対戦などを経験し、中学進学と同時にFC東京U-15むさしへ入団する。同クラブで2年生まで活躍したものの、ユースへ昇格を逃し、横河武蔵野FCU-18へ入団。3年時は膝の半月板の怪我でほとんどプレーできなかったという同選手は、「勉強も頑張りたい」と神奈川県の進学校である聖光学院高校に在籍し、猛勉強の末、東京大学に現役合格した。
東大進学後、運動会ア式蹴球部(サッカー部)に入部するものの、高校時代の怪我の影響で満足にプレーできず、1年後にミネルバ大学へ編入。ナイジェリアなどの国でサッカーをしたことがきっかけで、1度は諦めたサッカーへの情熱を取り戻す。2023年9月に移住した韓国では、ソウルから釜山まで約600キロ(東京から大阪間とほぼ同等)を自転車長距離移動。その影響で下半身が鍛えられ、膝も回復していたことから、国内のセミプロチームのセレクションを受けたところ、合格したという。
2024年1月にアルゼンチン移住後、サッカー関係者の紹介で1部リーグのヒムナシア・イ・エスグリマ・ラ・プラタの下部組織に入団した煙山。本人によると、当初はスペイン語を全く話すことができない状態だったが、現在は生活やプレーで困ることは少ないとのこと。
なお、アルゼンチンへ移り住んだのは「プロを目指す上で、よりレベルが高い国でチャレンジしたい」ことと、好きな選手がインテル・マイアミ(MLS)所属のアルゼンチン代表FWリオネル・メッシであることを理由に挙げている。
小学校時代から煙山を知るサッカー関係者は「最も尊敬する友人の1人」とした上で「今もちょくちょく仕事の相談にのってもらっていて子供の頃からけむには刺激をたくさん貰っています。自分の気持ちに素直で肩書きや常識にとらわれない彼の姿を色々な方に知ってもらいたいです」と、エールを送った。
今後、煙山がアルゼンチンでプロとしてプレーできる日はくるのだろうか。注目していきたい。
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