
ヨーロッパのシーズンが幕を閉じる初夏。各国リーグの上位クラブに出場権が与えられ、世界最高峰のクラブ大会とも言われるUEFAチャンピオンズリーグ(CL)も、2023/24シーズンは6月2日にボルシア・ドルトムント(ドイツ)対レアル・マドリード(スペイン)の決勝を残すのみとなった。
以前はCLに出場する日本人選手はほとんどおらず、少し途中出場しただけでも大きなニュースに。しかし、今シーズンは1試合に日本人選手4人が同時先発ということも起こった歴史的なシーズンとなった。実に隔世の感がある。この経験値が、日本代表の強化の源泉になることは間違いない。
2023/24シーズンCLに出場した日本人選手について、早速詳しく見てみよう。

随一の存在感を示した久保建英(レアル・ソシエダ)
レアル・ソシエダ(スペイン)に所属するMF久保建英は、2023/24シーズンCL8試合に出場し日本人選手で最多となった。全て先発で、出場時間563分も最長だった。
グループステージでは3勝3分の無敗で勝点12を積み上げ、得失点差+5で+3のインテル(イタリア)を抑えて首位につけたソシエダ(グループD)。久保は優勝候補パリ・サンジェルマン(PSG/フランス)戦でも、チームの主力としてプレーした。
ベスト16の同PSG戦第1戦(2月15日)はアウェーで0-2で、第2戦(3月6日)はホームで1-2。2試合合計1-4となり完敗し、世界最高のストライカーという呼び声が高いPSGのFWキリアン・ムバッペに眼前で3得点を許したが、欧州最高峰の舞台で対戦したことは大きな経験となったに違いない。
日本人選手の中で傑出した活躍をしたと言える久保。グループを首位で通過して、いきなりPSGと対戦するというのは不運というほかなく、対戦相手次第ではさらに上位に進出できる可能性もあっただろう。

準々決勝で先発した冨安健洋(アーセナル)
アーセナル(イングランド)に所属するDF冨安健洋は、2023/24シーズンCL6試合に出場。出場時間388分は日本人で2位。グループステージは4勝1分1敗の勝点13で首位につけた(グループB)。
冨安は、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)と激突した準々決勝の第2戦(4月18日)でアウェーに乗り込み先発。後半41分までプレーした。結果は0-1で惜敗し、2試合合計2-3でアーセナルは敗退したが、8強は日本人選手で最上位となる。
守備の複数ポジションでプレーし、ポリバレントさを発揮した冨安。チームにとって貴重な存在であることを改めて証明した。

グループEは日本人ダービー目白押し(ラツィオ、フェイエノールト、セルティック)
2023/24シーズンCLのグループEは、MF鎌田大地が所属するラツィオ(イタリア)、FW上田綺世が所属するフェイエノールト(オランダ)、FW古橋亨梧ら5人の日本人選手が所属するセルティック(スコットランド)が同組になり注目を集めた。
セルティックパークにラツィオを迎えた試合(10月5日)には、セルティックから古橋、FW前田大然、MF旗手怜央が、ラツィオから鎌田が先発出場。欧州CLという最高峰の舞台で日本人ダービーが実現するというだけで貴重だが、4人が先発したのは史上初であり、新たな時代を切り開いたことになる。この歴史的な試合は、古橋が先制点を決めるもラツィオが2点を返し大いに盛り上がった(結果1-2)。
ラツィオはホーム戦(11月29日)でも鎌田が先発し、対するセルティックからは古橋が先発。ラツィオが2得点してセルティックに勝利した(2-1)。
フェイエノールトのホームにラツィオを迎えた試合(10月26日)では、フェイエノールト上田が途中出場し、ラツィオ鎌田はベンチ入りも出番機会はなくスコアは3-1。
セルティックがフェイエノールトを迎えた試合(12月14日)は、セルティック古橋と旗手が先発し、後半22分にフェイエノールト上田が途中出場。スコアは2-1だった。
結果グループEは、アトレティコ・マドリード(スペイン)が1位、ラツィオが2位、フェイエノールトが3位、セルティックが4位に。同組からは日本人選手として鎌田のみがCLラウンド16に駒を進めた。
敗退したセルティックの古橋は、本大会を通じて6試合452分に出場し、日本人最高の2得点を挙げている。グループ3位でUEFAヨーロッパリーグ(EL)に進出したフェイエノールト上田は、ELプレーオフローマ戦2試合で105分出場もPK戦で敗退した。

ラウンド16で途中出場した鎌田大地(ラツィオ)
グループEから駒を進めたラツィオは、ラウンド16でバイエルンと対戦。鎌田はホーム戦(2月15日)で後半41分に途中出場しチームは1-0で勝利。アウェー戦(3月6日)では後半40分から出場も0-3で敗北となり、2試合合計1-3で敗退した。
鎌田は、CLを通じて7試合に出場し出場時間は256分。イタリアの名門ラツィオでの活躍は評価に値する。
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