セリエA ユベントス

プロ経験わずかにして冬の最高額42億円。ユーベはなぜクルゼフスキを獲得したか?

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2019年11月24日セリエA第13節ボローニャ対パルマの試合中、スタジアムにあまり見かけない人物が現れた。それはユベントスのチーフ・フットボールオフィサー、ファビオ・パラティチ氏であった。彼の目的は、アタランタからパルマにレンタル移籍中の若手スター、デヤン・クルゼフスキのプレーを生で見ることだった。

クルゼフスキは、イタリアで最も優秀と言われているアタランタのアカデミーで育ち、昨年プロデビューしたばかりの駆け出しの選手です。しかし彼のプレーは全くそう思わせず、それが強みでもある。パラティチ氏が見ていたボローニャ対パルマの試合では、素晴らしい活躍だった。得点を挙げた上で、7回もフィニッシュまで持ち込み、ドリブルの成功率も尋常ではなかった。

クルゼフスキは今シーズンのパルマの攻撃の要になっている。チームが獲得した得点の46%に絡んでいる上(24得点中11得点)、個人では4得点7アシストを記録。しかし一番驚くべきことは、ユースから上がったばかりの彼が、ユースリーグとセリエAのレベルの差を全く感じていないかのようにプレーしていることだ。パルマの監督であるロベルト・ダヴェルサはシーズン開始前からクルゼフスキのポテンシャルに気づき、ずっと彼をスタメンに起用してきている。そしてクルゼフスキは、その信頼を全く裏切らないエース的な活躍を見せている。

そんなクルゼフスキのパフォーマンスがイタリアの王者であるユーベの目に留まり、2020年1月2日、3500万ユーロ(約42億円)の移籍金でユーベの選手になることが決定した(2019-20シーズン終了まではパルマでプレーを続ける)。これはユーベ史上最も高い冬の移籍期間取引となっている。セリエAでたった5ヶ月間しかプレー経験がない19歳の選手に対して、並外れた金額です。

しかし、クルゼフスキはこれからユーベのシステムにフィットできるのだろうか?

写真提供: Arena Calcio

クルゼフスキはユーベにとって「珍しい買い物」

クルゼフスキのプロとしての経験は、セリエAリーグ戦17試合とコッパ・イタリア(日本における天皇杯に相当するカップ戦)2試合のみで、国際経験は全くない。今までのユーベには、プロ経験がほぼゼロの選手にこんなに大きな金額をかけるイメージがない。

クルゼフスキに一番近い例は、2019年7月に獲得したマタイス・デ・リフトです。しかし、デ・リフトは確かに若かったが、すでにアヤックス・アムステルダムでチャンピオンズリーグ(CL)経験を重ねていて、その大会の主人公になったと言ってもおかしくない選手だった。

この数年ユーベはCL優勝をずっと目標にしていて、もちろん今もそうです。しかし、その目標のために若い選手を獲得することはあっても、全く経験のない選手に賭けに出るようなチームではない。

ということは、このタイミングに42億円でクルゼフスキを獲得したことは、大きな意味を持つと思われる。ユーベは、彼が世界一になるポテンシャルを持っていると信じているに違いない。

写真提供: Radio Sportiva

クルゼフスキはユーベの新しいファンタジスタになるポテンシャルを持っている

クルゼフスキには世界に通用する一流プレイヤーになるための基礎が揃っている。レベルの高い技術、強いフィジカル、ゲームのビジョン。これからは経験を積むだけです。

現在パルマでは、ウィングストライカーあるいはサイドミッドフィルダーとして使われているが、クルゼフスキには中央にしぼり前線に適切なパスを出す場面がたくさん見られる。

彼が目指しているのはサイドのポジションではない。中盤から攻撃のスイッチを入れるファンタジスタ(ずば抜けた技術を持ち、創造性に富んだ、意想外のプレーを見せる天才的なサッカー選手)になりたいと発言しています。

「私はファンタジーのあるプレーが好きです。中央にしぼってプレーすることが多いのはそのクオリティーを持っているからです。将来的にはトップ下、センターハーフ、メッザーラ(ウィングとセンターフォワードの間のポジション)になって、私がアシストとシュートする場面をもっと増やしたい」

中盤にクオリティを求めているマウリツィオ・サッリ監督にとっては頼もしい言葉です。

写真提供: Calcio News Web

クルゼフスキにはユーベのサッカーにフィットできる自信がある

現在クルゼフスキが所属しているパルマとユーベのプレースタイルは、全く逆です。パルマがディフェンスを固めてカウンターを狙うチームなら、ユーベは高い位置でプレッシングをかけ、試合を支配するプレースタイルです。

しかし、クルゼフスキは来シーズンからユーベにフィットできると強く信じている。ビアンコネーリ(ユーベ)に獲得されたときの初めての言葉はこうでした。

「ユーベのプレースタイルが好きです。選手は長くボールを持たないし、スピード感がある。サッリ監督は私の成長を強く信じている。どこのポジションでもプレーできる自信があるが、それを決めるのは監督です」

ユーベはクルゼフスキの成長がチームの成功につながると信じて彼を獲得した。クルゼフスキはユーベでプレーできる絶対的な自信を持っている。この組み合わせが国際的にどこまで通用するのか、早く見てみたいものです。

名前Uccheddu Davide(ウッケッドゥ・ダビデ)
国籍:イタリア
趣味:サッカー、アニメ、ボウリング、囲碁
好きなチーム:ACミラン、北海道コンサドーレ札幌、アビスパ福岡

14年前に来日したイタリア人です。フットボール・トライブ設立メンバーの1人。6歳の時に初めてミランの練習に連れて行ってもらい、マルディーニ、バレージ、コスタクルタに会ってからミランのサポーターに。アビスパ福岡でファビオ・ペッキア監督の通訳も務めた経験があります。

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