浦和レッズ AFCチャンピオンズリーグ

ACL決勝進出の浦和レッズ、2側面の戦い。逃げ切りと、栄光へ

写真: @THEAFCCL

著者:クリシュナ・サドハナ(フットボール・トライブ・アジア)

「お見事」

AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝での浦和レッズを表す唯一の言葉だ。10月23日(水)に行われたのACL準決勝2ndレグで浦和は広州恒大淘宝足球倶楽部を1-0で破り(2戦合計3-0で)決勝への進出を決めた。この試合、大槻毅監督率いる浦和は広州のホームに乗り込んだ。広州は中国サッカー・スーパーリーグで深セン市足球倶楽部を2-3で破ってリーグでの首位をキープし、埼玉で行われた1stレグでの敗北のショックからは立ち直っていた。浦和は反対に、Jリーグで清水エスパルスを相手に1stレグからの勝利を続けたものの、大分トリニータにはまたしてもホームで敗戦し暗雲立ち込める最中だった。

浦和の国内での出来はショッキングなもので、大分戦の敗北によりJリーグでは12位となり、降格圏ゾーンまで4ポイントの状況。また、HondaFCにホームで負けを喫し天皇杯からも敗退しており、人々が浦和のACL準決勝1stレグでの勝利はまぐれだったと思うのは当然の流れだった。

人々の予測は外れた

しかしながら大陸大会では、浦和は全く異なる獣の様相を見せる。特に期待されていない時にこそ、相手をイラつかせて懲らしめる恐ろしいチームになる。まさにこれが彼らが広州戦で見せた姿になった。広州が試合を支配していくように見えたが、浦和は実践的であり続けた。広州に最大のチャンスが訪れたのは、前半アンデルソン・タリスカがシュートを放った時だ。これがポストに弾かれた。レフリーが前半終了の笛を吹くまで、浦和はストイックに攻め続けた。

後半も大体同じような展開だったが、広州のスタミナが減少してくると浦和がチャンスを掴む。50分に信頼されている興梠慎三が決めた。浦和に対する勇敢な反撃を期待していた広州の観客は、逆にまたも後退したことに呆然となった。この試合1-0、合計点3-0の結果に、広州は登る山の高さを知っただろう。広州にとっては残念なことに、浦和は残り時間もしっかり防御し勝利で試合を締める。ACL決勝へのチケットを掴んだ。

広州に勝利したことで、浦和は興味深いACL記録を残した。2019年のACLに中国スーパーリーグから出場した4チーム中、3チームに勝利したというものだ。浦和はグループステージで北京中赫国安足球倶楽部に、準々決勝では上海上港集団足球倶楽部に勝利してきた。残る山東魯能泰山足球倶楽部は、広州に敗北している。さらに浦和はこの試合でも得点を許さなかったことで、今季ACLで6つのクリーンシートを達成。これは今季J1での記録に並んだことになる。

ACL決勝、2度目のアル・ヒラル戦へ

さて、ACL決勝で浦和を待つのは、サウジアラビアの強豪アル・ヒラルだ。2017年のACL決勝が繰り返される形となる。前回は浦和が勝利しており、アル・ヒラルは当然ながらリベンジをかけて挑んでくる。

浦和にとって、ここから2つの側面の戦いとなるだろう。国内大会で降格圏から逃れる戦いと、大陸大会で栄光を勝ち取る戦いだ。浦和サポーターは、大槻監督がどちらの側面でも最大限の結果を残す戦略を挙げてくることを期待しているに違いない。再びACL優勝によって、国内の不出来も払拭することができるだろうか?

その答えは11月9日にリヤドで、24日に埼玉で行われるアル・ヒラルとの決勝戦でわかるだろう。