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イランの女性客のスタジアム入場禁止が解除。しかし、現実は…

写真提供: Gettyimages

イラン。40年の長い我慢の後、ようやく女性客のスタジアムへの入場禁止が解除されました。女性がスタジアムに登場できるようになるのは10月10日のワールドカップ予選、イランと本田圭佑が指導しているカンボジアとの一戦からである。

1979年のイラン革命直後から、男子選手の試合の際に女性客がスタジアムに入ることが禁止されるようになった。イラン革命はイスラム革命とも言われて、イランを君主制からイスラム教に基づく共和国に変えた革命であった。

まず、はっきりさせたほうがいいことがある。イランでは女性客の入場禁止に関する法律は昔から存在していません。女性がスタジアムに行けなかったのはイランの勧善懲悪委員会(簡単な言い方で宗教警察)の管理があったからです。宗教警察の役割は市民が宗教の言い伝えをきちんと守ることを監視することです。なので、国が女性にスタジアムへの入場を認めたとしても、何かのトラブルが発生する可能性がある。

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場禁止が解除された理由

それはサハール・コダヤリ(Sahar Khodayari)の事件があったからです。サハールはブルーガールとも呼ばれています。その理由は彼女が好きだったイランのエステグラルのチームカラーが青だからです。

彼女は大好きサッカーチームの試合を見るため、目立たないように男性に混ざってスタジアムに応援に行った。しかし、宗教警察が彼女に気づき、大変なことに。サハールは女子刑務所に連れていかれて、3日間そこで過ごすことになった。その後、彼女は自由になったが、警察に返されなかった携帯を取りに行くために警察署に戻った。そこで6か月の懲役が言い渡される可能性が高いと言われたサハールはそれに耐えれなくて、焼身自殺…

皆さんが知っているように、その事件のことでFIFAがすぐ動いた。しかし、FIFAだけではなく、イラン国民のサッカーセレブリティも声をあげた。元バイエルン・ミュンヘン所属のアリ・カリミはイランのサポーターにこれからの試合ボイコットすることをお勧めした。また、イラン代表のキャプテンであったアンドラニク・テイムリアンはサハールに起きたことを無駄にならないように、スタジアムを作って、そのスタジアムに彼女の名前を与えるべきだと強く発言した。イラン国民にとって、こういった発言は命にも関わる可能性もある。

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女性がスタジアムに入場できるようになったが

犠牲になったサハールはイランの女子サポーターに未来を与えた。しかし、女性がこれから全ての試合に入場できるようになるわけじゃない。その目標まではまだ長い道のりがある。女性の入場には下記の限りがある。

●イラン代表の試合のみに入場ができる。

●男子と一緒に試合が見れない。女子専用エリアが用意される。

考えられないことかもしれませんが、女子専用の入り口も用意され、女子エリア内に用仮設トイレが設置されている。そして、とんでもない数の多いセキュリティーも登場するだろう。

これからの試合がなんの事件もなく行われることを強く願っています。そして、少しずつイランが変わり、何の違和感もなく女子も自由にサッカーが楽しめるようになってほしい。

名前Uccheddu Davide(ウッケッドゥ・ダビデ)
国籍:イタリア
趣味:サッカー、アニメ、ボウリング、囲碁
好きなチーム:ACミラン、北海道コンサドーレ札幌、アビスパ福岡

14年前に来日したイタリア人です。フットボール・トライブ設立メンバーの1人。6歳の時に初めてミランの練習に連れて行ってもらい、マルディーニ、バレージ、コスタクルタに会ってからミランのサポーターに。アビスパ福岡でファビオ・ペッキア監督の通訳も務めた経験があります。

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