アジア ワールドカップ

アメリカがタイを大差で下す。女子サッカー界にも存在する大陸間格差

著者:スティーブン・デニス(フットボール・トライブ・インドネシア)

 ここまでの差になるとは誰が予想したか。女子ワールドカップフランス2019で、東南アジア最強のタイ代表が世界最強であり女子ワールドカップの優勝国アメリカ代表と対戦。アメリカが13ゴールを挙げた。女子サッカーの発展に際し、この結果は大陸間の格差を意味することを受け入れなければならない。

 タイ代表は最高のGKワラポーン・ブンシンを欠いて今大会に出場。4年前のカナダ大会で控えだったスカンニャー・チョージャルーンがゴールを守った。アメリカは試合開始12分で、ケリー・オハラの完璧なパスを受けてアレックス・モーガンがヘディングシュートし、試合を独占し始めた。

 アメリカは前半でさらに、ローズ・ラベルとリンジー・ホランが完璧な攻撃セットで2得点。両チームのレベルの違いをみせる。今大会デビューのローズ・ラベルは、56分にも自身2得点目、さらに3ゴールを決めた。

 ゴールを決めたもう1人のワールドカップデビュー選手は、ジュリー・アーツに代わってベンチから入ってきた21歳のストライカー、マロリー・ピューだ。5つ星のパフォーマンスで5得点を挙げたアレックス・モーガンのほか、サマンサ・メウィス、ミーガン・ラピノー、カーリー・ロイドも得点を決めた。

 アメリカの得点数は、2007年のドイツ対アルゼンチン戦の11-0に代わり、ワールドカップ史上最高となった。モーガンの1試合5得点も、99年のアメリカのレジェンド、ミシェル・エイカーズ以来2人目の記録。この1試合だけで、男子チームがワールドカップ過去3大会で決めたゴール数(12)よりも多い得点数となった。

 しかし、別の側面で両チームをリスペクトする。アメリカが試合中手を抜かずにベストを尽くし続けたことで、タイもたくさんのことを学んだ。防御の仕方、試合の組み立て方、カウンター攻撃、そして最も重要なことは、得点をした後の立て直し方だ。

 タイ代表はこの試合で2回トライした。どちらもGKアリッサ・ネイハーの守るネットを捉えていた。24タックル、9ブロック、28クリアランス、1イエローカード。各チームとも5つのファウルしか犯していない。しかし、ただただ、アメリカ代表は最終スコアに反映されたように異次元にいた。


 一方、この試合の前には2大欧州国、オランダとスウェーデンが初戦で勝利している。
オランダは1-0でニュージーランドに辛勝。アーセナルのストライカー、ジル・ルートが試合終了間際に得点した。スウェーデンも前半スコアレス、後半は豪雨により中断となる厳しい試合だったが、コソヴァレ・アスラニとマデレン・ヤノギが得点し、南アメリカ代表のチリを下した。