セリエA ミラン

CLにはまた手が届かないのか。ミランが抱える致命的な5つの問題

 コッパ・イタリア準決勝2ndレグ、ホームでのラツィオ戦に0-1で敗れ、敗退が決まったミラン。リーグ戦ではラツィオに勝利を収めていただけに、サポーターの期待を裏切る形となった。クシシュトフ・ピョンテクやルーカス・パケタが冬に加入したことで、多少なりとも息を吹き返したかに見えたミランだが、公式戦直近10試合は3勝3分4敗と終盤に来て大ブレーキ。チャンピオンズリーグ(CL)出場権を争う他のクラブも足踏みしてくれているおかげで、何とか4位には立っているが、アタランタには勝ち点で並ばれた。今回は、そんなCL出場権獲得に暗雲が立ち込めているミランが抱える、5つの致命的な問題をご紹介する。


ピョンテクにボールが入らない

ジェノアで才能を爆発させ、ミランでも加入直後からゴールを量産してきたピョンテク。しかし、危険な選手になろうとすれば、それだけ対戦相手からのマークもきつくなる。技術的に高いレベルにあるチーム以外は、最終ラインの設定を低くしてロングボールをケア。ピョンテクへのパスコースを寸断し、彼が試合の中でボールに触れる回数は極端に減っている。


中盤のクオリティ

ピョンテクにボールが入らない問題の一因が中盤のクオリティだ。ルーカス・パケタが居ればまだいいほうだが、彼が不在となる試合では絶望的だ。足下でボールを受けるがマークをはがせるわけでなく、結局1列後ろのティエムエ・バカヨコがフィジカルを活かしてマークを剥がしながらドリブルで前進することで、何とかシュートまで持ち込む形が多すぎる。アイディアがないのか、選手のクオリティ不足なのか、おそらく両方だが致命的な問題だ。ジャコモ・ボナベントゥーラが復帰しても解決する問題ではないだろう。ミランには最低でもパケタレベルの中盤がもう1枚必要だ。


ピョンテクのプレーの幅が狭い

セリエAデビュー1年目のピョンテクに多くを求めるのは酷な話かもしれないが、チームメイトからボールが来ないのであれば、自身の動き方も変える必要がある。現にパトリック・クトローネは2トップになりターゲットが1枚増えたとはいえ、ピョンテク以上にチームメイトからパスを引き出すことができている。ボールが来ないのに延々と同じ動きを繰り返すのではなく、相手のディフェンダー陣の裏をかかなければいけない。


スソでかならず停滞するカウンター

最近のミランの試合を見れば、スソが攻撃時に大きな負担となっていることは否定できない。動きに切れはなく、ディフェンダーをはがしきることができず、カットインからのシュートにも可能性を感じない。クロスの精度もシーズン前半ほど高くなく、違いを生み出す選手にはなれていない。そして、彼の存在が最も“邪魔”に思えてしまうのがカウンター発動時だ。

高い位置、低い位置を問わず、彼がカウンターを構成する一員となると、彼にボールが渡った瞬間にカウンターが停滞する。ディフェンダーをはがしきれないので、縦に行くと見せかけて横にドリブル。上がってきたバカヨコにボールを預けるまでがテンプレートと化している。その間に相手はブロックを組みなおすので、得点は難しくなってしまう。


ガットゥーゾの試行錯誤?とついてこれない選手たち

ラツィオ戦では3バックを採用し、スソとサム・カスティジェホを2シャドーのように起用したジェンナーロ・ガットゥーゾ監督。ピョンテクにボールが入らない問題を解決しようと試みたのだろうが、今のミランの選手のクオリティにそれは実現不可能だったようだ。最終ラインからのビルドアップでマークのずれを作れるわけでもなく、中盤が抜群のポジションでボールを受けるわけでもない。かといってサイドにクオリティもない。これで点が取れると思うほうがおかしいだろう。

もちろん選手だけでが悪いわけではないだろう。ここ数試合でイタリアメディアから柔軟性があると評価されることもあるガットゥーゾ監督だが、モチベーションを上げ、人の配置を変えるだけなら監督など必要ない。同じ局面で同じやられ方をする回数が多すぎる。ピッチ上で実現するであろうシチュエーションを想定し、それに備えた選択肢や答えを優先順位に応じて選手に複数用意するのが仕事だ。このままではCLの出場権を逃すことになりかねない。

名前:菊池大将
趣味:サッカー観戦、映画鑑賞、読書
好きなチーム:ACミラン
幼少期に父親の影響でミランが好きになりました。アイドルはシェフチェンコ。パッション、データ、経済、カルチャー、サッカーの持つ様々な表情を見るのが好きです。よろしくお願い致します!

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