プレミアリーグ アーセナル

DR.TRIBE【試合診断書】プレミアリーグ第20節 リバプール対アーセナル

大会:プレミアリーグ
カード:リバプールvsアーセナル
スコア:5-1
担当医:菊池大将(@yukkenokonoko
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポインティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):ロベルト・フィルミーノ

年内最後の重要な一戦でハットトリックの活躍。ジェルダン・シャチリとポジションを入れ替えながら、攻撃のタクトを振り戦術面でも大きな役割を果たした。

ザ・ハード・ワーカー(THW):ジョルジニオ・ワイナルドゥム

守備面での貢献度もそうだが、この日の攻撃時のワイナルドゥムは冴えていた。良いタイミングでパスコースを作り出し、オフ・ザ・ボールの動きで周囲の選手をサポート。加えて、2列目、3列目から飛びだすことでアーセナル守備陣を苦しめた。

モースト・ディサポインティング・プレーヤー(MDP):ステファン・リヒトシュタイナー

2度、直接的に失点に繋がるプレーをしてしまった。クリアミスに関しては仕方ない部分もあるが、ラインの押し上げに関しては問題だろう。ギャップを生み出してしまった。


リバプールの攻撃vsアーセナルの守備

アーセナルは高い位置からリバプールのビルドアップに対して規制をかけ、守備の立ち位置からカウンターを仕掛けて先制に成功する。対するリバプールはビルドアップはファビーニョへのパスの優先順位を高くしつつ、ジョルジニオ・ワイナルドゥム、アンドリュー・ロバートソンが上手に引き出すことでプレスを回避。1列高い位置に入ってからは、ジェルダン・シャチリとロベルト・フィルミーノがポジションを入れ替えながら、フィルミーノがフリーでボールを受けることに成功。アーセナルとしては前線3枚に対して1対1を作るようにしていたが、ポジションチェンジに対応することができなかった。

また、2ライン間に入ったボールに対して緩くなるシーンもあり、これらが1失点目、2失点目、4失点目の大きな要因となった。3点目に関してはアリソン・ベッカーが能力の高さを発揮。素晴らしいパントキックから、PKに繋げている。アーセナルとしては全体的に人に付く意識が強いこともあり、ラインのコントロールなどコレクティブさに欠けていた。

後半はアーセナルが人よりもスペースを消す意識が強くなったアーセナルの4-4-2のブロックに対して、両SBが幅を取ってビルドアップ。局面が硬直した際にもモハメド・サラーが基準となり、その基準が動きながら周囲とボールを交換しつつ、ボールも動かして局面を打開。人が動いて、アーセナル守備ブロックの間を割ってチャンスを作った。アーセナルはリバプールが攻撃に前半ほど迫力を出さなかったこともあるが、ある程度守備の形を見せることができた。


アーセナルの攻撃vsリバプールの守備

ビルドアップ時はリバプールの効果的なプレスもあり、サイドに逃げる形が続いたが、左サイドに人を少し集めることで、攻略する場面も見せた。また、守備時の形からカウンターで理想的な時間帯にゴールを奪うことに成功した。しかし、逆転されて以降はリバプールのプレスに苦しみ続けた。1対1に勝利することでチャンスにつなげるシーンもあったが、その後のリバプールの寄せも早いため、こういった局面を打開できるルーカス・トレイラのような高い能力を持つ選手も苦戦。セットプレーではいい形を作れたが、後半は修正が必須となる前半だった。

アーセナルは後半頭からローラン・コシールニーを投入。リバプールがトレイラ、ジャカに入ってからのボールをケアする意識が強くなったため、その2枚にはボールが入るようになったが、中盤の壁は超えれず。多少流動的に人を動かしてチャンスは作ったものの、長続きはしなかった。リバプールはジョーダン・ヘンダーソン、アダム・ララーナを投入し、運動量を確保しながら中盤の壁をより強力に。アーセナルとしてはボールを回すだけのように見える攻撃が続いてしまった。


リバプール監督:ユルゲン・クロップ

早々の失点というアクシデントはあったものの、準備したプランがしっかりと機能し終わってみれば大勝。展開に応じてプレッシャーのかけ方を変え、中盤に運動量をある選手を投入しながら上手に試合を終わらせた。


アーセナル監督:ウナイ・エメリ

結果論になってしまうが、リバプールに対して4-2-3-1は難しいものがあった。局面の中で中盤の枚数を変えながら、2トップを採用できる3-5-2を試してみるのも手だろう。試合の入りをアタッカーに対してディフェンダーが1対1を作り出す形を採用したなら、3バックでも問題はないはずだ。現にアーセナルは流動的なパリ・サンジェルマンの3-5-2に苦しんでいる。PSGと同じ形を採用するのは難しいが、トレイラ、ジャカ、アーロン・ラムジー、メスト・エジルといったタレントがいれば、試す価値はあるはずだ。ビルドアップ時に3+1+両WBの形は、3トップで前からはめてくるチームへの1つの解決策となるだろう。


主審:マイケル・オリバー

全体としてファウルの判定に不可解なものはなく、リバプールに与えられた2つのPKも妥当だったと言えるだろう。ただ、プレミアリーグ全体の判定を見たときに、少し繊細なジャッジだったともいえる。




名前:菊池大将
趣味:サッカー観戦、映画鑑賞、読書
好きなチーム:ACミラン
幼少期に父親の影響でミランが好きになりました。アイドルはシェフチェンコ。パッション、データ、経済、カルチャー、サッカーの持つ様々な表情を見るのが好きです。よろしくお願い致します!

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