Jリーグ 松本山雅

松本山雅やV・ファーレン長崎がJ1へ。クラブの歴史に名を刻んだ名将8選

Jリーグ界隈で目まぐるしく監督交代が行われることが日常茶飯事の後継となっているが、その中でもこれまで数多くの名将が5年以上に渡る長期政権を築き上げてきた。今季クラブ創設以来初となるJ1の舞台へ勇猛果敢に臨んだV・ファーレン長崎の高木琢也監督や、クラブにJ2リーグ優勝という初タイトルをもたらした松本山雅の反町康治監督も在任期間が5年を超えている。今回は今季のJリーグを賑わせた両監督も含め、Jリーグ屈指の名将を紹介する。


西野朗

ガンバ大阪:2002年シーズン~2011年シーズン

獲得タイトル
・J1リーグ(2005年)
・ナビスコカップ(2007年)
・天皇杯(2008年、2009年)
・FUJI XEROX SUPER CUP(2007年)
・AFCチャンピオンズリーグ(2008年)

Jリーグ界における最長政権をガンバ大阪で築いた西野朗は、アトランタ五輪でブラジル代表から大金星をあげる「マイアミの奇跡」の立役者として知られている。ガンバ大阪では2000年代なかばに日本代表DF宮本恒靖やMF遠藤保仁らを擁して一気に上位に定着させるなど、見事な手腕を発揮。同時期に浦和レッズと強烈なライバル関係となると、AFCチャンピオンズリーグのタイトルを浦和レッズが獲得した翌年にガンバ大阪も同タイトルを手中に収めている。ガンバ大阪指揮官退任後は、ヴィッセル神戸や名古屋グランパスを率いた後、ワールドカップ・ロシア大会の本大会で急遽日本代表監督を務め、チームをベスト16に導いた。


オズワルド・オリヴェイラ

鹿島アントラーズ:2007年シーズン~2011年シーズン

獲得タイトル
・J1リーグ(2007年、2008年、2009年)
・天皇杯(2007年、2010年)
・FUJI XEROX SUPER CUP(2009年、2010年)
・ナビスコカップ(2011年)

鹿島アントラーズをさらなる常勝軍団に鍛え上げた名将であるオズワルド・オリヴェイラは、指揮初年度の2007年シーズンに最終節で首位に立っていた浦和レッズとのタイトルレースを制して逆転優勝を飾り、そこからJ1リーグ3連覇という偉業を成し遂げた。また独特の掌握術により以降もチームに数多くのタイトルをもたらし、J1史上最多のタイトル獲得指揮官となっている。なお、現在は強烈なライバル関係にある浦和レッズの指揮官を務めており、来季AFCチャンピオンズリーグ出場権獲得を目指している。


ドラガン・ストイコビッチ

名古屋グランパス:2008年シーズン~2013年シーズン

獲得タイトル
・J1リーグ(2010年)
・FUJI XEROX SUPER CUP(2011年)

ピクシーという愛称で多くのファンから親しまれたストイコビッチは、現役時代に8シーズンに渡り名古屋グランパスに在籍し、数多くのタイトルをもたらし功労者として周囲から高い評価を受けていた。一度レッドスター・ベオグラードの会長職に就いたものの再び大好きな日本に指揮官として戻ってきた。現役時代と比較して獲得タイトルこそ少なかったものの、常に上位争いを演じ、AFCチャンピオンズリーグにも出場するなど、その手腕は称賛に値するものであったことは間違いないだろう。


ネルシーニョ

柏レイソル:2009年シーズン途中~2014年シーズン

獲得タイトル
・J2リーグ(2010年)
・J1リーグ(2011年)
・FUJI XEROX SUPER CUP(2012年)
・天皇杯(2012年)
・ナビスコカップ(2013年)
・スルガ銀行チャンピオンシップ(2014年)

2009年シーズンのJ2降格という雪辱から、わずか1シーズンでJ1復帰を果たすと、FWジョルジ・ワグネルやFW工藤壮人らを擁して臨んだ2011年シーズンにはJ1昇格1年目で初となるリーグ優勝を成し遂げた。またこのシーズンにはFIFAクラブワールドカップで4位という成績を残している。なお今年4月からフリーの身となっているネルシーニョを巡っては、現時点で17位と低迷し、J2降格が目前に迫っている柏レイソルを来季から率いる可能性が伝えられている。


ミハイロ・ペトロビッチ

サンフレッチェ広島:2006年シーズン途中~2011年シーズン
浦和レッズ:2012年シーズン~2017年シーズン途中

獲得タイトル
・J2リーグ(2008年:サンフレッチェ広島)
・FUJI XEROX SUPER CUP(2008年:サンフレッチェ広島)
・J1リーグ1stステージ(2015年:浦和レッズ)
・J1リーグ2ndステージ(2016年:浦和レッズ)
・YBCルヴァンカップ(2016年)

Jリーグファンにはおなじみの顔となったミハイロ・ペトロビッチは2006年にサンフレッチェ広島に就任。2007年シーズンにJ2降格が決定するも首脳陣の指揮官留任という判断が功を奏したのか、翌シーズン以降はV字回復を見せる。2012年シーズンからは浦和レッズを率いるとサンフレッチェ広島時代に師弟関係にあった日本代表DF槙野智章やMF柏木陽介、GK西川周作らを獲得し、Jリーグタイトル獲得を成し遂げた。今季からは「エレベータークラブ」としての印象が強かった北海道コンサドーレ札幌の指揮官に就任すると、これまでのチーム状況からは考えられないような上位躍進を遂げ、鹿島アントラーズや浦和レッズなど強豪と来季AFCチャンピオンズリーグ出場権を争っている。


森保一

サンフレッチェ広島:2012年シーズン~2017年シーズン途中

獲得タイトル
・J1リーグ(2012年、2013年、2015年)

名将ミハイロ・ペトロビッチに後を継いだ森保一は、就任初年度から主力選手の引き抜きに遭う中、J1リーグタイトルを3度も獲得するという快挙を成し遂げている。ただ2017年シーズンは序盤から苦境に立たされると、シーズン途中の7月に解任という憂き目にあった。現在はワールドカップ・ロシア大会後に西野朗の後を継ぐ形でサムライブルーを率いている。


反町康治

松本山雅:2012年シーズン~現在

獲得タイトル
・J2リーグ(2018年)

2011年に湘南ベルマーレ指揮官を退任した反町康治は、同年にJFLからJ2リーグ昇格を果たした松本山雅からのオファーを受諾すると、プロクラブとしてのメンタリティを植え付けたり、フェアプレーの重要性を唱え、2015年にはクラブ史上初となるJ1の舞台でシーズンを戦った。地元松本市出身のDF田中隼磨が精神的支柱となりチームをまとめて臨んだ今シーズンは混戦となった上位争いを制し、見事クラブ創設初となるJ2リーグ優勝を成し遂げた。


高木琢也

V・ファーレン長崎:2013年シーズン~2018年シーズン

獲得タイトル:なし

2013年シーズンよりV・ファーレン長崎を率いていた高木琢也は、2度のJ1昇格プレーオフまで躍進するもあと一歩のところでJ1昇格には届かなかった。しかし2017年シーズン途中にジャパネットたかたの高田明前社長がクラブの代表取締役社長となったことにより、クラブを取り巻く環境が大幅に改善されると同時に快進撃を見せ、今季にクラブ史上初となるJ1昇格を決定。ただ今季、J1リーグで大健闘を見せるも、J2降格が決定。クラブが新たなスタートを切ることにより、今季終了後の高木監督退任が正式決定している。