セリエA サッスオーロ

DR.TRIBE【試合診断書】セリエA第7節:サッスオーロ対ミラン

大会:セリエA
カード:サッスオーロvsミラン
スコア:1-4
担当医:菊池大将(@yukkenokonoko
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):サム・カスティジェホ

CFの位置で起用され、本職ではないながら最低限のポストプレーとサイドに流れるプレーで滑らかにオフェンスの中で機能した。先制点のフランク・ケシエのゴールは彼のデコイランがスペースを生み出し、自身初のミランでのゴールも確かなポジショニングからシュートコースを逃さずしっかりと決めきった。

ザ・ハード・ワーカー(THW):ハカン・チャルハノール

成功率の高いドリブルとパスで多くのチャンス演出。カスティジェホとのポジションチェンジやタイミングを見て逆サイドにまで顔を出すことで局所的な数的有利を作り出し、相手のマークを曖昧なものにさせた。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):マヌエル・ロカテッリ

MDPに選出するのは少々厳しいかもしれないが、1失点目の対応には問題があった。攻撃的に攻めていくチームであれば、あそこはアンカーがリスクマネジメントを行うべきだっただろう。パス回しなどは正確に行っているが、自身の成長に繋がる課題の見えた試合と言えるだろう。


サッスオーロの攻撃vsミランの守備

サッスオーロは2CBとロカテッリでビルドアップ。SBをサイドのやや高い位置で余らせて、そこにボールを入れて角度をつけたところから距離感を縮めて細かいパス回しで侵攻。ミランはカスティジェホがロカテッリをケアしブロックを組んで対応したが、フェデリコ・ディ・フランチェスコやドメニコ・ベラルディが中間ポジションを取ることで難しい対応に。サッスオーロのスピード感に苦しんだミランだが、ケビン=プリンス・ボアテングのマークを外さなかったことで失点は免れた。

失点してからも大きくオーガナイズは変えないサッスオーロ。後半はミランが選手同士の距離感をつめ、スピード感にも慣れてきたことでパス回しの安定感を欠いたサッスオーロ。ただ、シンプルなサイドチェンジから1点を返した。

75分頃からはクマ・ババカルなどを投入し4-4-2気味にシステムを変更。クロスを中心に、サイドの大外1枚を余らせる狙いだったが、ミランはマークを外さずしっかりと対応した。


ミランの攻撃vsサッスオーロの守備

序盤はサッスオーロの距離感の良さと、奪われてからのファーストディフェンスの早さで中々前にボールを送れなかったミラン。ただ、素早いサイドチェンジを駆使してサッスオーロのプレスを回避。そこからはポジションチェンジを繰り返しながら、サッスオーロの守備ブロックを崩しにかかった。

高い位置に人数をかけるサッスオーロに対して、ミランはシンプルなカウンターを選択。多くのチャンスがカウンターから生まれ、先制点もカウンターから。サッスオーロとしては奪われた際のファーストディフェンスにリスクマネジメントの意識をもっと持つべきだった。

サッスオーロが4-4-2気味にシステムを変更しても、カウンターの意識は変わらず。システム変更にも対応し、試合終盤までカウンターからチャンスを作ることに成功した。


サッスオーロ監督:ロベルト・デ・ゼルビ

デ・ゼルビらしいゴールまでの効率を意識したサッカーは決して悪いものではなかった。選手の距離感はこれまでの戦い同様に非常に訓練されたもので、ステファノ・センシなどを筆頭にパスコースの選択も非常に洗練されていた。

明らかな問題点はディフェンス。カウンターを食らうのは致し方ない部分もあるが、ファーストディフェンスに行った選手にもっとリスクマネジメントの意識を植え付ける必要があるだろう。また、帰陣した際にオフェンスよりの選手にカウンターの意識が強すぎる。まずは守るということを意識させるべきだ。


ミラン監督:ジェンナーロ・ガットゥーゾ

序盤こそ後手を踏んだものの、イグアイン不在のチームでCFにカスティジェホを起用したことは正解だったと言えるだろう。テクニックと運動量を兼ね備えるカスティジェホが高い位置でポジションチェンジを繰り返しながら、最低限のポストプレーとドリブルでのキープを織り交ぜることでサッスオーロの守備を崩すきっかけを生み出した。

課題の守備面では惜しくもクリーンシートとはいかなかったものの、好調サッスオーロを1失点に抑えた。決定機を作られはしたが、最後の最後で選手が踏ん張る姿勢を見せたことも明るい材料だ。相手がシステムを変更してから失点しなかったことも評価できる。


主審:ピエロ・ジェコメッロ

要所要所でファウルの基準が曖昧になる場面があり、両者にフラストレーションの溜まる試合となった。イエローカードの基準もブレており、選手としてはモヤっとする試合になっただろう。




名前:菊池大将
趣味:サッカー観戦、映画鑑賞、読書
好きなチーム:ACミラン
幼少期に父親の影響でミランが好きになりました。アイドルはシェフチェンコ。パッション、データ、経済、カルチャー、サッカーの持つ様々な表情を見るのが好きです。よろしくお願い致します!

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