いよいよ欧州主要リーグの新シーズンがスタートする。そこで今回は、新たな指揮官を迎えたビッククラブの注目ポイントをご紹介する。
レアル・マドリード
現監督:フレン・ロペテギ
前任者:ジネディーヌ・ジダン
前人未到のUEFAチャンピオンズリーグ3連覇を達成して退任したジネディーヌ・ジダン。その後継を担うことになったのがフレン・ロペテギだ。ロシアワールドカップ開幕直前で来季のマドリードの指揮官に就任することが発表され、スペイン代表監督をクビになった。
今夏の移籍市場でライバル・バルセロナが積極補強を行う一方で、マドリードは静かな夏を過ごしている。クリスティアーノ・ロナウドがユベントスへ移籍。ネイマールやキリアン・ムバッペら代替となるニュースターも獲得出来ず。戦力ダウンとみられてもおかしくはない。
マドリードは1つのサイクルを終えた。ロペテギが新時代をどのように築くのか注目だ。
パリ・サンジェルマン
現監督:トーマス・トゥヘル
前任者:ウナイ・エメリ
トーマス・トゥヘルが率いるチームは地球上で最も前衛的なフットボールを志向するだろう。複雑で要求するレベルが高いため、精神的なダメージが大きい。PSGの選手たちは彼の手法を受け入れ、ビックイヤーを獲得できるだろうか。
監督は40歳の大ベテランGKジャンルイジ・ブッフォンの獲得を望んでいた。彼の役割はドレッシングルームでチームに秩序を与え、監督をサポートすることだ。ドルトムントでトゥヘルは人心掌握に失敗している。PSGはスター軍団であり、ネイマールなどの自己主張が強い選手を束ねなければならない。チームの結束に成功しなければ、PSGがCL準々決勝の壁を超えることは出来ないはずだ。
ただ、これまでトゥヘルが指揮を取ったどのチームよりも戦力は整っている。ピエール=エメリク・オーバメヤンとヘンリク・ムヒタリアンのコンビよりネイマールとキリアン・ムバッペのコンビの方が可能性を感じさせるだろう。
バイエルン・ミュンヘン
現監督:ニコ・コバチ
前任者:ユップ・ハインケス
バイエルンにとってニコ・コバチ就任が最善のプランでなかったことは明らかだ。クラブはユリアン・ナーゲルスマンやラルフ・ハーゼンヒュットル、トーマス・トゥヘルのような監督を招聘したかったのだろう。だが、断られてしまった。
バイエルンのようなビッククラブでコバチが格下の相手を打ち崩すだけのアイデアを持っているか疑念が付きまとう。ルイ・ファン・ハール、ジョゼップ・グアルディオラ、カルロ・アンチェロッティ、そしてユップ・ハインケスらは豊富な経験とアイデアでバリエーションに富んだ戦術を構築してきた。コバチがビッククラブを指揮するのは初めてだ。蓋を開けてみなければ予想は難しい。
また、大きな成功を収めたユップ・ハインケスの後任監督であり、前任者との比較は避けられないはずだ。ニコ・コバチは大きなプレッシャーに勝てるのか注目だ。
ナポリ
現監督:カルロ・アンチェロッティ
前任者:マウリツィオ・サッリ
アンチェロッティは1999年からユベントス、ミラン、チェルシー、パリ・サンジェルマン、レアル・マドリード、そしてバイエルン・ミュンヘンと世界有数のメガクラブで10年間指揮を執っている。実績は申し分ない。
だが、ナポリはセリエA屈指のビッククラブとはいえ、メガクラブと比較すれば、スター選手は少なく、やや戦力的に劣るだろう。今夏の移籍市場でもファビアン・ルイスやシモーネ・ベルディなど実力者を獲得したが、ジョルジーニョはチェルシーに移籍した。
幸いなのは、前任者がマウリツィオ・サッリであったことだろう。アンチェロッティは前任者が築いたものを活かしてさらにチームをレベルアップさせることが出来るはずだ。ユベントスの8連覇を止めるのは彼らかもしれない。
チェルシー
現監督:マウリツィオ・サッリ
前任者:アントニオ・コンテ
今年60歳を迎えるベテラン監督のマウリツィオ・サッリだが、欧州トップクラブで指揮を執ったのは2015年から昨季までの4シーズン率いたナポリのみだ。さらにサッリにはイタリア以外のクラブを率いた経験がない。まずは監督がイングランドのリーグに適応する時間が必要だろう。
しかし、前任者のアントニオ・コンテは一昨シーズン、プレミアリーグを制覇したにも関わらず解任されたことを忘れてはいけない。それは良い成績を残せない監督に対して、与えられた時間は長くないことを意味している。
注目すべきは、サッリが用いる特殊な戦術をどのくらいの期間でチームに浸透させられるかだ。イングランドの過酷な日程を消化するためには、ローテーションを用いることが不可欠だ。戦術の浸透と疲労のバランスを考慮した戦い方が重要となるだろう。
アーセナル
現監督:ウナイ・エメリ
前任者:アーセン・ベンゲル
アーセナルの状況は5年前のマンチェスター・ユナイテッドと比較されている。22年間のアーセン・ベンゲル体制が終焉を迎え、新たな指揮官に就任したのはウナイ・エメリ。アレックス・ファーガソン退任後のデビット・モイーズを思い起こさないほうが不自然だろう。
ただ、アーセナルがトップ4に食い込むことは簡単ではないが、近年よりも低迷するとも考えにくい。UEFAヨーロッパリーグ優勝も来季のUEFAチャンピオンズリーグ出場権を獲得出来ることを考えれば、大きな目標となるだろう。
クラブのサポートも十分だろう。ユベントスからステファン・リヒトシュタイナーを獲得。実績を持つ堅実な守備者の獲得はエメリにとって心強いはずだ。加えて、22歳のルーカス・トレイラはMFに新たなオプションをもたらした。セビージャとバレンシアで限定された予算で素晴らしい功績を収めており、アーセナルでも多くの若手選手の才能を引き出すことが期待される。
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