
バルセロナの同点弾にはチェルシーのミスがあったわけだが、イニエスタはそれを利用するのに最適な場所にいた。しかしこの緊張感ある場面で冷静さを保ち、フリーのルイス・スアレスがボックス内にいたにもかかわらず、彼を“無視”する先見の明を持っていた。この行為は反射を支配することと同じ意味を持つ。チャンスを迎えたこのポジションのほとんどの選手はフォワードへパスをし、できるだけ早くゴールへつなげようと考えるものだ。ヨーロッパ屈指のストライカーであるスアレスがボールを要求していたことを考えれば、それは全く合理的な選択だっただろう。
しかしメッシがいた。観客は彼を見つけられなかったし、コメンテーターもそうだった。しかしイニエスタは違った。ゴール自体はシンプルだったが、ラストパスは見事だった。
しかもそれを利き足でない左足でやったのだ。
彼の歴史と長期にわたるその卓越した技術を考えれば、この場面におけるすべての要因を認識していたと考えて間違いないだろう。このポジションはリオネル・メッシがキャリアを通じて何度も決めてきたところであり、このような状況で彼がそのポジションに入ってくることをチームメイトたちは知っているだろう。しかし、この場面でそうした計算を素早く行うことは、このレベルにおいては特筆に値する。
使い古された表現をあてはめる他ない。結局のところ、彼は自分のスピードまで試合をスローダウンさせられる素晴らしい選手なのだ。これは、彼がキャリアを通してやってきたことと、なぜ彼が出場しないと試合がつまらないものになるのかを端的に表した、ほんの一瞬の場面だった。テクニックのある選手が今後台頭してくることに疑いないが、彼と同じくらい効率的に自分の能力を発揮できる選手がその中にいるかどうかは保証できない。
身体的な速さが求められる時代において、イニエスタの頭脳はずっとずっと速かったのだ。
著者:Seb Stafford-Bloor
TifoFotballのコンテンツ・エディターであり、『フォー・フォー・トゥー』にも寄稿している。
Twitter:@SebSB
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