【Fリーグ】2人目の外国籍選手獲得はクラブ哲学の変更なのか? すみだ須賀雄大監督「自分たちが大事にしていることは、大事にできている」

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[9.22 練習試合 立川・府中 2-2 すみだ 府中市総合]
フウガドールすみだは22日、立川・府中アスレティックFCと練習試合を行い、2-2で引き分けた。この試合には新加入選手のFPガリンシャが出場。ブラジル人アタッカーは後半に1アシストを記録し、リーグ戦で2試合連続ノーゴールとなっているチームで武器になりそうな存在感を示した。

すみだは2016/2017シーズンにFPボラが加入するまで、日本人選手のみで戦ってきた。Fリーグ初年度から日本でプレーし続けており、ある程度の日本語を理解するボラの獲得はともかく、今回、日本でプレーした経験のないブラジル人選手を獲得したことは、クラブのフィロソフィがブレているのではないかという指摘もある。

その点についてチームの代表でもある須賀雄大監督は、今回の外国籍選手獲得プロジェクトが昨年から進んでいた長期的なものだったと説明する。そして、「フィロソフィが変わったかどうかは、見ている方の考え方次第」と前置きをしつつも「自分たちが本当に大事にしていることは絶対に大事にできていると思っている」と、チームの指針にブレはないことを強調した。

以下、立川・府中戦後のフウガドールすみだ 須賀雄大監督のコメント

――ガリンシャ選手のプレーを実際に見た印象、そして獲得理由などを伺いたいと思います。
須賀 まず彼が来て1週間しか経っていません。17日に来日して、19日から練習をしたので、3日間練習をして今日初めてトレーニングマッチをしました。時差もまだ完ぺきではないし、6月くらいからうちに来る予定になっていたので、その時期からチームに所属しないでトレーニングをしていました。かなり厳しい環境でやっている中で、非常に前向きにプレーしてくれている印象を持っています。

――ブラジルの全国リーグのレギュラーシーズンが昨日終わりましたよね? 全国リーグの途中まで出ていたんですか?
須賀 そうです。本当はもう少し早く日本に呼びたかったのですが、ビザの関係もあって。彼自身も初めての海外移籍なので、そうしたことで時間がかかったところがあります。

――ガリンシャ選手はブラジル代表には入っていませんが、存在感あるプレーしますね。
須賀 そうですね。今回、彼を獲得した理由は、自分たちがクラブとして前進するために、自分たちが成長することは大事です。また僕が要求するプレーが、こういうプレーなんだと示せることで、より選手がそういったプレーを行えます。たとえば、左利きのピヴォと組み合わせることで、より自分の良さを出せる選手が出てきます。もしくは(左利きのピヴォにボールを入れてから)どういうタイミングで入っていけばシュートまでいけるのか。それを経験しないまま成長していってしまう可能性もあります。そういう意味では、自分たちのクラブに絶対にいないようなタイプの外国籍選手が欲しいと思っていましたし、クラブの次のステップとして、すごく重要だと考えていました。今回、そうした選手と縁があったので、ぜひ獲得をしたいと。
そしてプレースタイル、人間的な部分でも、自分が見る限りは非常にクラブにあっています。たとえば、すごくタフなゲーム、荒れたゲームでも非常に冷静にプレーしていました。守備のトランジションでも、前からの守備でも、すごく献身的にやっていました。そうしたところは、自分たちのクラブのカラーに非常に合っていたことも獲得の決め手になっています。

――候補に挙がっていた選手は、他にも何人かいたのですか?
須賀 そうですね。実は、この外国籍選手を獲得するプロジェクトについては、昨シーズンから動いていました。ただ単に外国籍選手が欲しかったのではなくて、自分たちが成長できる、また下部組織の模範になる選手でなければ意味がありません。それで非常に長い間、探しながら、今回、縁があったという感じです。

――単純に清水和也選手の穴を埋めるため、という補強ではないんですね。
須賀 そうですね。もちろん和也はプロ選手だったので、そうした予算の部分はあります。ただ、仮に和也が残っていても、トライしたいポイントではありました。

――今日はいきなりガリンシャ選手をパワープレーの守備にも組み込んでいました。この中断期間を使って、Fリーグクラブとの試合を経験させられたのは、チームにも、彼にも良い経験になりましたね。
須賀 彼は日本のスピードに慣れることが必要だと話していました。「やはり日本は速い。ブラジルはもっとゆっくりだ」と。それは良い意味だけではないのかもしれませんが、日本人はとてもよく走るので、そうしたスピード感に慣れていく必要があるでしょう。それでも、すごく早く順応していると思います。今日も試合前に自分たちの守備の映像を1時間ほど見てもらったのですが、それをすぐ体現するような柔軟さももっていました。ある意味、すごくフィットしていけるのではないかと思っています。

――真面目そうですよね。
須賀 すごく真面目だと思います。そのミーティング中も、1時間ずっと集中して聞いていましたし、そういう部分は長けていると思います。

――彼が入ってすみだがどうなっていくか、面白そうですね。
須賀 うちのクラブも、ボラを獲得するときから、外国籍選手を取ることにトライはしています。外国人選手だから獲得しないのではなくて……。もちろん自分たちが育てた選手でやっていくこともすごく大事だと思いますが、まだまだクラブも成長過程です。下部組織には左利きのピヴォの選手がにたくさんいますが、お手本にするような選手がこれまではいなかった。逆に左利きのピヴォとどういうプレーをしたら自分が生きるのか、というイメージがわかなかった選手たちもいたかもしれません。でも、彼らは今日、ガリンシャのプレーを見て、そうしたイメージを持てたかもしれません。やはりいろいろな意味でクラブが前進できなければ、いくら外国人選手が勝ち点を取ってきてくれても意味がないと僕は思っていたので、クラブを前進させてくれる選手に来てもらったという感じです。

――下部組織からも選手が上がってきていて、畠山勇気選手もどんどん慣れていますし、栗本博生選手も今日、キャプテンマークを巻いてプレーして、危険な場面で体を張っていました。中田秀人選手は中心選手になりつつあります。
須賀 そうですね。そういう意味では今年は苦しいシーズンですが、自分たちが目指すものは、すごく先にもあります。そのプロジェクトとして、しっかり冷静に判断していかなければいけません。たとえば、自分たちは下部組織を大事にしているから、即戦力や外国籍選手を取らないかといえば、そうではありません。でも、そういう選手だけになってしまったら意味がありません。そこはいかにクラブのアイデンティティを継承しながら、長いビジョンでやっていくのか。しっかりディスカションしながら進めているので、そこのバランスを考えながらやっていければ、結果も残せて、且つクラブとしても成長いけるのではないかと思いますね。

――以前、日本人選手で戦うことにこだわるっていう話もあったことで、すみだはフィロソフィを変えたのではないかという声もあります。
須賀 関東リーグのときから日本人だけでやっていくという形で、ずっとそれでやってきたので、Fリーグもそれでまずは戦おうと考えていました。外国籍選手が必要な状況に面したときに、初めて獲得する可能性が出てきます。

――それはパワープレーを導入したのと、同じような状況ですね。
須賀 そうですね。でも、目の前の選手に向き合わずに、外国籍選手を連れてくればいいじゃないかという短絡的な考えはしたくありません。先ほど話したように、いろいろな意図で必要なところもあります。今までのFリーグの選手たちと同じであれば、和也はずっとうちに残ってやっていく選手でした。でも、彼を海外に送り出しました。彼に代わる選手をゼロから育てていくときにどうするのか。そういう選手を積極的に送り出していくスタンスを崩さない中で、外国籍選手が必要になることもあると思います。クラブとしてステージが上がれば、いろいろなことをやっていかないといけないのかなというところです。

――すみだが掲げている『2028年のアジア制覇』という目標を考えると、外国籍選手の獲得は早い段階でやらないといけないことだったと思います。
須賀 その通りですね。ある意味、フィロソフィが変わったかどうかは、見ている方の考え方次第です。それは僕らがどうこう言えることではありません。それでも自分たちが本当に大事にしていることは、絶対に大事にできていると思っているので、その中でしっかりやっていきたいと思います。

――わかりました。ここからプレーオフ進出に向けて、巻き返したいところですね。
須賀 そうですね。ある意味、今年は全員が「自分が活躍しないと勝てない」と、全員が思っていると思うんです。その状況が一番伸びる。やっぱり「誰かが活躍してくれるだろう」「俺は守備だけやっていればいい」と考えるのではなくて、「自分があのチャンスを決めなかったから勝てない。だからもっとゴールにかかわっていく」。やっぱりいろいろな状況で、自分が活躍しなきゃと思うマインドは、すごく大事だと思います。そういう期間は監督としては苦しいですが、選手としてはチャンスととらえてほしいと思いますし、野心をもってやってくれれば、今年っていうのは、振り返ったときに絶対によかったシーズンになると思っています。その中で、プレーオフにここから行けるように頑張っていきたいですね。