
2025/26シーズンのプレミアリーグ(イングランド1部)は全日程を終え、激動の1年が幕を閉じた。今シーズンは、長らく王座から遠ざかっていた名門クラブの復活劇や、予想外の躍進を遂げた伏兵たちの台頭が話題を集めた一方で、移籍市場に莫大な資金を投じながらも内部崩壊を招き失速したビッグクラブなど、ピッチ内外で悲喜交々のドラマが展開された。
ここではシーズン終了時の評価をもとに、全20クラブの戦いぶりや移籍市場での動向、監督交代などの内幕を振り返り、そのパフォーマンスをS、A、B、C、D、Eの6段階で評価していく。
アストン・ビラ(評価:S)
リーグ4位
アストン・ビラにとって、今シーズンは非常に奇妙かつ波乱に満ちたシーズンであったと言える。ウナイ・エメリ監督体制下の4年間で見ると、チームは国内リーグにおいて最も苦しいシーズンを過ごした。獲得した勝ち点もエメリ監督就任後の3シーズンでは最低を記録しており、その低迷ぶりを如実に物語っている。
シーズンを通してチームの状態は安定せず、ピッチ上では苛立たしいほど消極的なプレーが目立つ場面も少なくなかった。しかし最終的な結果だけを見れば、戦力不足や選手層への懸念を見事に覆したシーズンだったとも言える。
一時はリーグで優勝争いを演じながら、クラブ史上初のUEFAヨーロッパリーグ制覇を成し遂げ、来シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ出場権を獲得。国内での不調をヨーロッパでの成功によって相殺し、最終的にはこれ以上ないほど充実したシーズンだったと結論づけられる。
サンダーランド(評価:S)
リーグ7位
サンダーランドの今シーズンは「S」評価以外考えられない。彼らは昨シーズン、チャンピオンシップ(イングランド2部)のプレーオフ決勝で劇的な逆転劇を演じ、9年ぶりにプレミアリーグへ復帰すると、それからわずか12ヶ月後にはリーグ7位という偉業を成し遂げた。この驚異的な成功を、当時誰が想像できただろうか。
来シーズン、クラブは史上2度目となるUEFAヨーロッパリーグ出場権を獲得。最終節のチェルシー戦では見事2-1で勝利を収め、歓喜と称賛に沸く観衆に語りかけたレジス・ル・ブリス監督。彼の功績は計り知れない。今年ウェアサイドで起きた“奇跡”は、このフランス人指揮官の手腕による部分が極めて大きかったと言えるだろう。
もちろん、素晴らしい統率力を見せたMFグラニト・ジャカを中心に、非常にまとまりのあるチームが形成されていたことも大きい。それでも、わずか2年前にはチャンピオンシップ16位に沈んでいたクラブを、短期間でヨーロッパリーグ出場へと導いたことは驚異的だ。関係者全員にとって、まさに理想的なシーズンだったと言える。

アーセナル(評価:A)
リーグ1位
直近3シーズン連続で2位に終わり、あと一歩で優勝を逃し続けてきたアーセナルにとって、今シーズンの唯一にして最大の目標はプレミアリーグ制覇だった。そして彼らは、前回のリーグ優勝から実に22年という長い年月を経て、かつて在籍した多くの人々の思いも背負いながら、ついにその悲願を達成したのである。
その原動力となったのは、常にタイトル争いの中心に身を置いてきた鉄壁の守備基盤と、セットプレーにおける革新的な戦術の進化である。これらがシーズンを通して安定した勝ち点の積み上げを可能にし、最終的にトロフィー獲得へとつながった。一方で、攻撃面ではかつてほどの流動性が見られなかったことやピッチ内外での振る舞いに課題が残り、依然として懐疑的な見方も存在している。

マンチェスター・シティ(評価:A)
リーグ2位
プレミアリーグのタイトル防衛という至上命題を達成することはできなかったが、4月に入るまでは誰もがここまでの首位争いを演じるとは予想していなかっただろう。ジョゼップ・グアルディオラ監督は、自身の高度なサッカースタイルの真髄を追求するため、若くて新しいチームを根本からまとめ上げるという難題に直面していた。チーム刷新の一環として、アシスタントコーチにペップ・ラインダース氏を招へいし、新たな活力を注入。その結果、チームは従来以上に攻撃的なスタイルへと変化した。
試合全体のコントロールはやや緩慢になった側面もあるが、鋭いカウンター攻撃の脅威は飛躍的に増し、チームは徐々に指揮官の理想とするサッカーへ近づいていった。さらに、カラバオ・カップとFAカップで2冠を達成し、リーグ戦でも一定の結果を残しながら、同時にチーム再建まで進めていた点は高く評価されるべきだろう。チャンピオンズリーグでの敗退は一時的な低迷期であったとはいえ、過渡期にあるチーム状況を踏まえれば、彼らにこれ以上を求めるのは酷だったと言える。
ボーンマス(評価:A)
リーグ6位
ボーンマスは昨夏、強力なディフェンス陣と正GKを引き抜かれたうえ、1月にはチームの大黒柱だったFWアントワーヌ・セメンヨを売却するなど、通常であれば崩壊に直結しかねない激動を経験した。さらに、アンドニ・イラオラ監督の退任も間近に迫るなど不安定な状況下だったが、結果的にそれらは大きな問題にならなかった。
むしろ彼らは、クラブ史上初となるヨーロッパリーグ出場権を獲得する快挙を達成。多くの主力選手が退団したにもかかわらず、高いパフォーマンスを維持し、再びリーグ6位という見事な成績を収めたことは驚異的だ。
また、セメンヨやDFディーン・ハイセンといった主力選手の円滑な世代交代は、クラブ首脳陣が後継者育成と戦力刷新において、明確なビジョンを持っていることがうかがえる。そのため、今夏に予想されるイラオラ監督の退団も、チームの大幅な戦力低下にはつながらないと考えられている。
彼らが最高評価の「S」に届かなかった理由は、チャンピオンズリーグ出場権を惜しくも逃したからに他ならない。しかし、その一点だけが減点材料だったという事実こそ、今季のボーンマスがいかに高く評価されているかを物語っている。
リーズ・ユナイテッド(評価:A)
リーグ14位
2025/26シーズンにおいて、2部からの昇格組でありながら見事な戦いぶりを見せたリーズ・ユナイテッド。残り4試合の段階でプレミアリーグ残留を確定させ、さらにFAカップではベスト4進出を果たしている。その躍進ぶりを踏まえれば、最終順位こそ14位だったものの、A評価に値するシーズンだったと言える。
クラブ関係者は昨夏以降、一貫して的確な判断を下しており、移籍市場で獲得した10人の新戦力のうち、少なくとも7人は成功補強だったと評価できる。また、ダニエル・ファルケ監督を安易に解任せず、11月から12月にかけても過度な補強に走らなかったフロント陣の冷静な判断も、最終的に大きな成果へとつながった。
マンチェスター・ユナイテッド(評価:B)
リーグ3位
ルーベン・アモリム監督が率いたシーズン前半、チームは非常に不安定な戦いが続き、マンチェスター・ユナイテッドはリーグ中位を抜け出せずにいた。さらにカラバオカップでは格下クラブ相手にまさかの初戦敗退を喫し、公式戦わずか40試合で国内カップ戦から姿を消すなど、厳しい前半戦を象徴する結果となった。
しかし、1月にマイケル・キャリック氏が暫定監督として指揮を執るようになると、状況は急速に好転。チームは終盤にかけて調子を上げ、最終的にはリーグ3位という好成績でシーズンを終えた。
個人レベルでも復調が目立ち、MFブルーノ・フェルナンデスはキャリアハイとも言えるパフォーマンスを披露。若き至宝MFコビー・メイヌーもアモリム体制下での不振から完全に立ち直り、中盤の中心選手として存在感を示した。こうした立て直しの結果、現在のユナイテッドは良好な状態にある。キャリック監督はクラブ内外に漂っていた停滞感を払拭し、チーム全体の雰囲気を見事に活性化させたのである。
ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン(評価:B)
リーグ8位
リーグ戦の最終的な順位表だけを見れば、ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオンは勝ち点53の8位でフィニッシュしており、昨シーズンの61ポイントから後退したように映る。しかし、「B」評価となったのには理由がある。
ファビアン・ヒュルツェラー監督の就任後、クラブは補強面で苦戦が続いていた。また、夏の移籍市場ではFWジョアン・ペドロがチェルシーに引き抜かれ、昨シーズンの躍進を支えたMFカルロス・バレバやMFジョルジニオ・リュテール、MF三笘薫といった主力選手たちは不調や長期離脱に苦しみ、チームは野戦病院のような状況に陥っていた。
そうした厳しい環境の中で、33歳の若き指揮官は試行錯誤を重ねながらチームを立て直していった。冬場にはリーグ13試合でわずか1勝しか挙げられず、一時は14位まで低迷したものの、終盤戦で見せた驚異的な巻き返しは見事だった。最終的にはUEFAカンファレンスリーグ出場権を確保。決して順風満帆なシーズンではなかったが、数々の困難を乗り越えて結果を残した点は高く評価されるべきだろう。
ブレントフォード(評価:B)
リーグ9位
2021年にチャンピオンシップから悲願の昇格を果たして以降、着実に成長を続けてきたブレントフォード。しかし今シーズン、厳しい現実に直面するであろうことを多くの人々が予想していた。昨夏には攻撃の中心だったFWブライアン・ムベウモとFWヨアネ・ウィサに加え、中盤の柱MFクリスティアン・ノアゴールまでも放出したことで、戦力低下は避けられないと見られていたからある。
だが、昨シーズンまでセットプレー専任コーチを務めていたキース・アンドリュース氏が監督へ昇格し、そうした懐疑論を見事に覆した。前線ではFWイゴール・チアゴが奮起し、新加入のMFジョーダン・ヘンダーソンもチームの中核として存在感を発揮。初めてトップクラブ級の指揮を執るアンドリュース監督に不安の声もあったが、結果的にはチームをヨーロッパリーグ争いへ導くことに成功した。
最終的には3月から4月にかけての6試合連続未勝利が響き、クラブ史上初となるヨーロッパリーグ出場権獲得は逃したが、シーズン前の低い評価を考えれば、期待以上の成果を残したのは間違いない。
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