
攻撃力が覚醒
J2・J3百年構想リーグEAST-Bの前半クールでは、1試合平均得点が0.78と深刻な得点力不足に苦しんでいた札幌。しかし後半クールでは、まるで別チームかのような変貌を遂げた。
その転機となったのが、聖地・厚別公園競技場(札幌市)で行われた第11節の松本山雅戦(2-1)だ。この勝利を皮切りに、札幌は6連勝を達成。さらに6試合連続複数得点を記録するなど、後半クールでは攻撃力が大きなストロングポイントへと変化し、安定した戦いを続けている。
なかでも印象的なのは、各選手の「個性」が得点パターンに色濃く表れている点だ。今季加入したティラパットのドリブル突破からPKを誘発する場面や、家泉の高さを生かしたヘディング、MF木戸柊摩の高精度キックを起点としたセットプレーなど、多彩な形でゴールを生み出している。
それぞれの武器が攻撃に還元されることで、札幌の攻撃は前半クールとは比較にならないほど厚みを増した。このように、各選手が自信を持ってプレーできていることも、得点力向上の大きな要因と言えるだろう。
守備の課題はマークの受け渡し
かつてミハイロ・ペトロヴィッチ(現・名古屋グランパス監督)体制下の札幌は、マンツーマン守備をベースとしたスタイルを採用していたが、川井監督下ではゾーンディフェンスを導入。各選手が担当エリアを守りながら侵入してきた相手選手を捕まえつつ、ボールとゴールを結ぶラインをケアする形へと変化している。
ただ、百年構想リーグでは、この守備方式における課題も浮き彫りとなっている。特にゾーンの境界付近でマークの受け渡しが曖昧になり、クロス対応から失点を喫する場面が散見されているのだ。
直近の大宮戦で奪われた2失点目・3失点目は、まさにその典型例だった。クロスに対する守備対応が噛み合わず、大宮側の狙い通りに崩された印象は否めない。今後は、クロス対応時の役割分担やマークの受け渡しをより明確に整理していく必要があるだろう。新シーズン開幕までに改善すべき重要な課題のひとつと言えそうだ。
北の大地で“遅咲きの桜”を咲かせた札幌は、現在リーグでも屈指の存在感を放っている。アタッカー陣の躍動や大型連勝によって確かな手応えを掴みつつある一方で、守備面には依然として課題を残している。それでも、2026/27シーズンでのJ1昇格へ向け、川井監督は自身の志向するサッカーにさらなる磨きをかけ続けている。攻撃的かつ躍動感あふれるスタイルが完成形へ近づいた時、来季のJリーグ全60クラブの中で、最も魅力的なサッカーを披露するのは“川井サッカー”なのかもしれない。
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