
ベルギー1部シント=トロイデンVV(STVV)はすでに元アルビレックス新潟所属MF伊藤涼太郎と、元ジュビロ磐田所属FW後藤啓介の今夏退団が決定的。元ガンバ大阪・東京ヴェルディ所属MF山本理仁にもブンデスリーガ移籍の可能性が取りざたされているが、FIFAワールドカップ北中米大会日本代表候補のDF谷口彰悟については、状況がまるで異なる。
ベルギーメディア『Sporza』は27日、STVV所属選手の去就を特集する中で、「谷口は高額で即座に移籍するタイプではない」と明言した。続けて、STVVの来季体制について、「来年、同じチームや同じ監督が残るとは思わない」としながらも、「それでも競争力のあるチームがピッチに立つと信じている。あのクラブは非常にうまく運営されているからだ」と報じた。財政規律を優先する経営陣の姿勢のもとで、高値での放出が見込みにくい谷口の「残留」シナリオは、クラブ側の論理とも一致している。
一方で、去就の核心はベルギーメディア『Mediahuis』が4月14日に報じた内容にある。「谷口は川崎フロンターレ復帰を望んでいなかった」「STVVとの契約は2026年6月に満了。契約延長の可能性は、STVVが来季、欧州カップ戦に出場できるかどうか次第だ」。
帰る場所を自ら閉ざした、退路なき男。現在STVVは上位6クラブによるプレーオフで3位につけており、来季欧州カップ戦の予選出場は濃厚だ。クラブが欧州の舞台を確保できれば、契約延長の条件は整う。だが、それはあくまで「可能性」に過ぎない。34歳のベテランの去就が、他クラブの結果と経営判断という不確定要素に委ねられている現実は、あまりにも不安定だ。
本人は3月22日放送の『全力応援!シント=トロイデン』(BS10制作)で、こう語っている。「明確な目標としては、W杯ということしか、今のところ考えていない。燃え尽きてもう辞めているかもしれないし。最後の最後まで何かにチャレンジしていたいというサッカー人生を送りたいと思っています」。
W杯後の自身の姿を、まだ自分でも見えていない——その言葉が、現状をもっとも正確に表している。「STVV残留」か「現役引退」か。川崎復帰という第三の選択肢を本人が拒絶している以上、北中米W杯の舞台でどれだけ輝けるかが、事実上の「最終審判」となる。W杯で燃え尽きた先に何が残るのか。その答えを誰も持っていないという事実こそ、この報道が持つ最大の不気味さである。仮にSTVV側が現役引退の可能性がある本人の思いを汲み取っているならば、契約延長交渉を先送りにしている可能性もある。
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