セリエA ユベントス

失意のベンフィカ戦から進化。ユベントスが“伊ダービー”で示した矜持【試合分析】

ニコロ・バレッラ(左)アドリアン・ラビオ(右)写真:Getty Images

2022/23シーズンのセリエA第13節が11月7日(日本時間)に行われ、ユベントスとインテルが対戦。

後半6分すぎに、ユベントスがインテルのコーナーキックのこぼれ球を拾ってロングカウンターを繰り出すと、左サイドを駆け上がったフィリップ・コスティッチのクロスにアドリアン・ラビオが右足で合わせ、先制ゴールをゲット。同38分すぎにも、自陣からのカウンターでコスティッチが攻め上がり、ペナルティエリアに侵入したニコロ・ファジョーリにパス。このボールを受けた21歳のイタリア人MFが右足を振り抜き、追加点を挙げた。最終スコア2-0で、ユベントスが勝利している。

直近の国内リーグで4連勝と復調しているユベントス。9シーズンぶりのUEFAチャンピオンズリーグ・グループステージ敗退が決まった、失意のベンフィカ戦(日本時間10月26日)から改善されたこととは何か。今回のイタリア・ダービーでの戦いぶりから分析する。


セリエA第13節、ユベントスvsインテルのスターティングメンバー

インテルに自由なビルドアップを許さず

基本布陣[3-1-4-2]のインテルが自陣後方でパスを回すやいなや、ユベントスは[3-5-1-1]の守備隊形で応戦。

1トップのアルカディウシュ・ミリクが、インテルの3バックの中央ステファン・デ・フライに睨みをきかせ、トップ下のファビオ・ミレッティが相手の中盤の底ハカン・チャルハノールを捕捉。インサイドハーフのラビオとファジョーリも、インテルの3バックの両脇ミラン・シュクリニアルとフランチェスコ・アチェルビによるボール運搬を阻止すべく、ハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)に立ちふさがった。

ユベントス MFアドリアン・ラビオ 写真:Getty Images

ハーフスペースをまめに埋め、インテルの攻撃をサイドからに限定する役目を担ったラビオとファジョーリは、前述の通り速攻に加わって得点をマーク。前者は12.109km、後者は12.099kmの走行距離をこの試合で記録しており、これは自軍の選手中2番目と3番目に長い距離(セリエA公式サイト紹介のマッチレポートを参照)。敵陣と自陣を懸命に行き来し、攻守両面において異彩を放った。今回のイタリア・ダービーにおける会心の勝利は、この2人によってもたらされたと言って差し支えないだろう。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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