サッカークラブ監督にとっての悪夢の1つは、全力でクラブ改善に従事している時に解任されることではないだろうか。どれだけ結果を出していても、どれだけ選手からの信頼を得ていても、フロント陣との理念やビジョンの違いによって辞めさせられる可能性だってある。
そんな中、これまで1度もクラブからは解任されず、現時点まで自らの判断のみで辞任を選択してきた監督もいる。ここではその決断力で数々のクラブに栄光をもたらしてきた、“解任されたことがない”欧州監督6人を紹介しよう。
ジョゼップ・グアルディオラ
ジョゼップ・グアルディオラ監督(現マンチェスター・シティ)は、指揮するクラブに栄光をもたらした後に自ら手を引くことを繰り返してきた。本人の否定はあれど、ティキ・タカ(ショートパスをつないで攻める戦術)を発展させ世界中に広めた監督と言われている。
まずは2008年、バルセロナのリザーブチームを経てトップチーム監督に昇格した同監督。リーグ優勝(2008/09、2009/10、2010/11)チャンピオンズリーグ(CL)優勝(2008/09、2010/11)などを果たすと、2度の世界ベストクラブコーチ賞(2008、2010)を受賞。バルセロナ側は手放したくなかったであろうことは明らかだが、試合が辛く楽しめなくなったことや選手の士気を上げられなくなったことを理由に、2012年に退任を決意している。
次に指揮したバイエルン・ミュンヘン(2013-2016)をは、3度のリーグ優勝(2013/14、2014/15、2015/16)などに導く。2015/16シーズン終了時までの契約ではあったが、2015年12月の早い段階に自ら契約更新をしないことを発表した。
そして2016/17シーズンから現在までシティの指揮官を務めているグアルディオラ監督。すでに3度のリーグ優勝(2017/18、2018/19、2020/21)を果たし、2020/21シーズン終了後は他クラブからのオファーによって去ると思われたが、シティとの契約更新に応じ同クラブに栄光をもたらし続けている。
ジネディーヌ・ジダン
ジネディーヌ・ジダン監督(現在フリー)も解任されたことはない。しかし彼が今までに指揮したクラブはレアル・マドリードのみである。カスティージャ(マドリードのリザーブチーム)の指揮官を務めたあと、2016年1月に解任されたラファエル・ベニテス監督の後任としてトップチームの監督に就任した。
ジダン監督の就任からマドリードは大会初となるCL3連覇(2015/16、2016/17、2017/18)など絶好調の時代を迎え、2017年に同監督はオンズドール年間最優秀監督賞、FIFA最優秀監督賞を受賞。しかし3度目のCL優勝後に退任を発表し、サッカー界を驚かせた。チームには新しい指導の仕方が必要という理由だった。
そして再三の復帰のオファーにより2019年3月から再びマドリードを指揮することとなったジダン監督だが、以前のような結果を出すことができなかった。クラブが必要な信頼を与えてくれず、長中期的に何かを達成するためのサポートを提供してくれなくなったという理由から、2021年5月に再びクラブを離れている。
ディエゴ・シメオネ
ディエゴ・シメオネ監督(現アトレティコ・マドリード)は、指揮官デビューの2006年から特に母国アルゼンチンで多くのクラブを渡ってきたが、いつも自らの辞任だったようだ。当初は経験不足で、敗北を重ねたという理由が多かった。
2011年6月には監督デビューを果たしたラシン・クラブ(アルゼンチン1部)に復帰するが、フロントとうまくいかなかったこと、そして古巣であるアトレティコからオファーを受けたことによって、わずか6ヶ月限りで退任を決意している。
2011年12月にアトレティコの監督となってから10年以上となるシメオネ監督。2度のヨーロッパリーグ優勝(2011/12、2017/18)などを果たした他、2016年には世界ベストクラブコーチ賞にもノミネートされた。
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