Jリーグ 浦和レッズ

出遅れた浦和レッズが浮上するために必要なこと【J1リーグ2022】

リカルド・ロドリゲス監督(左)キャスパー・ユンカー(右)写真:Getty Images

2021年、天皇杯JFA第101回全日本サッカー選手権大会を制し、明治安田生命J1リーグ戦では17試合で無失点と堅い守備をみせて6位となった浦和レッズ。2022シーズン、6試合を終えてまさかの13位スタートという予想外の結果になっている。

浦和は今季に向けて世代交代を敢行し、即戦力を多数獲得した。シーズンの開幕を告げる「FUJIFILM SUPER CUP(2月12日)」では、Jリーグ王者の川崎フロンターレに2-0で快勝。3年計画の3年目で目標を優勝としていたクラブは、良いスタートを切った、かに見えた。


2022開幕からの浦和の状況

J1開幕戦で浦和は、京都サンガを相手にボール支配率やシュート数などスタッツの多くで上回ったが、サンガが誇るFWのピーター・ウタカに決められて敗戦。ミッドウィークに行われた第9節のヴィッセル神戸戦は、2-1とリードして前半を折り返すも58分に明本考浩が退場となり状況が一変。昨季まで浦和に所属していた槙野智章に、87分に決められ引き分けに終わった。

続く第2節のガンバ大阪戦でも、スタッツでは圧倒したが81分に岩尾憲が退場となり直後に失点。最終盤には犬飼智也を前線に上げ、パワープレーを敢行したが実らず。第10節の川崎戦では33分に先制。「FUJIFILM SUPER CUP」の再来を感じさせたが、後半に入ると失速。62分、64分と立て続けに失点し逆転負けを喫している。

それでも第3節の湘南ベルマーレ戦は相手の倍近いシュート数を放ち、2-0で初勝利。ようやく流れに乗るかに思われた。しかし連勝を狙った第4節のサガン鳥栖戦、拮抗した試合ながら71分に先制を許すと、最後まで得点が遠くそのまま敗戦。

これで浦和は6戦を終え1勝1分4敗。多くのチームが4試合消化しているなか、6試合消化にも関わらず13位と低迷している。なぜこのような状況に陥っているのか。そして、ここから浮上していくためのカギとは。


浦和レッズ リカルド・ロドリゲス監督 写真:Getty Images

低迷の原因は

6試合で5得点、7失点の浦和。どの試合でもスタッツ上は五分か、それ以上のものを残している。しかし結果が伴わない。

ここまで得点を挙げている選手は松崎快、柴戸海、岩波拓也、江坂任、馬渡和彰。江坂と松崎は攻撃的な選手だが、柴戸と岩波と馬渡は3列目より後ろの選手だ。最前線に入ることが多い明本考浩、攻撃に絡むことが多い小泉佳穂、関根貴大など、決めるべき人が決められていない。

また過密日程のため仕方のない面はあるのだが、リカルド・ロドリゲス監督は積極的にメンバーや配置を入れ替えている。パズルにおいて向きや場所を変えながら試すことでハマることがあるように、サッカーにおいてもキレイにハマり結果が出ることはある。だが現状は固定できていないことがマイナスに働いているように見える。

岩尾憲、馬渡和彰、大畑歩夢、松崎快、犬飼智也と新加入で出場機会を掴んでいる選手は少なくなく、十分な戦力を抱えていることは間違いないが、最適解を見つけられずパズルがハマる形を模索しているような印象だ。

試合のスタッツを詳しく見ると、攻撃面ではアタッキングサードでのパス成功率が低く、前方へのパス成功率も低い。攻撃が上手く回っていないことが分かる。守備面ではボールを奪われてからチャンスを作られ得点を奪われるまでの数値が全体的に少しずつ悪い。一方で、その他に悪い数値があるわけではなく、大きな欠陥があるわけではない。

内容的に悪くないだけに選手は気落ちしていないだろうが、今後も修正する時間はあまりなく、早めに流れを取り戻さないとずるずると低迷してしまう可能性がある。

ロドリゲス監督はスロースターターの傾向があり、昨年も最初の6試合を1勝2分3敗と出遅れた状態から順位を上げていった。その再来を狙うことになるが、ただ今年は「3年計画」の3年目。「優勝」を掲げているだけに、より早く成績を伴わせたい。


浦和レッズ FWキャスパー・ユンカー 写真:Getty Images

ここから上位に浮上するために

浦和の得点力不足を解消するための最大のカギは、川崎戦で今季初出場したキャスパー・ユンカーだろう。昨年9得点を記録したストライカーは高さ、速さともに標準以上のものがあり、得点能力も高い。まだベストコンディションではないが、明本や江坂、小泉らと共存しうるストライカーにはチーム全体の得点力を引き上げるだけの力がある。

また横浜FCから加わったものの、怪我で出遅れていた松尾佑介にも要注目だ。昨年のJ1リーグで対面する相手をきりきり舞いさせた、止められないドリブルで左サイドを制圧してくれることに期待したい。

チーム全体としては成熟度を上げ、パス成功率を上げていかねばならない。前半は非常に内容が良いにも関わらず、後半に入ると押し返され失点を重ねる試合が多い。序盤から積極的なサッカーをしていることも一因だが、前述したようにパスの成功率が低くネガティブトランジションを繰り返さねばならないことが、後半の失速に繋がっている。

時間帯によってはじっくりとパスを回し、ペースを意図的に落ち着かせることも1つの手だろう。90分を通した戦い方を意識し、順位を上げ巻き返すことに期待したい。

名前椎葉 洋平
趣味:サッカー観戦、読書、音楽鑑賞
好きなチーム:アビスパ福岡、Jリーグ全般、日本のサッカークラブ全般

福岡の地から日本サッカー界を少しでも盛り上げられるよう、真摯に精一杯頑張ります。

筆者記事一覧