セリエA ユベントス

サッリ監督はなぜ責められる?ユベントスサポーターの「進化願望」が「恐怖」に

クリスティアーノ・ロナウド 写真提供:Gettyimages

サポーターの「進化願望」が「恐怖」へ

かくして、ユーベに進化を求めていた多くのサポーターはその考えを失った。その代わりに囚われているのは、何のタイトルも手に入れることができない恐怖だ。今シーズンのリーグ9連勝が危ないと実感すると、アッレグリ監督を手放したことを後悔している人や、すでに次の監督の名前を挙げている人も現れている。そして、現状の責任は数ヶ月前(2019年6月16日)に就任したサッリのみにあると決めつけている。

時間をかけてもゼロから再スタートするべきと発言したサポーターはどうなった?そして現状の何が不満なのか?ユーベは未だにセリエAランキング1位であり、CLでは決勝トーナメントにまで勝ち進んだ。さらには、コッパ・イタリアの準決勝まで進み、優勝に向かっているというのに。

正直に言って、現時点でサッリにこれ以上のことを求めるのは難しい。もしサッリがナポリで見せたサッカーをすぐに見たいのであれば、すでにそれを理解している2017/2018シーズンのナポリの選手全員をユーベに呼ぶしかないだろう。彼にはまだ時間が必要であり、選手がそのサッカースタイルに慣れさえすれば、ユーベは着実に強くなる。

ジョゼップ・グアルディオラ 写真提供:Getty Images

もしアッレグリの代わりにグアルディオラが選ばれていたら…

最近疑問に思うことがある。もしアッレグリ監督の代わりに、サッリではなくグアルディオラが選ばれていたら現状はどうなっていただろうか?元バルセロナの監督グアルディオラも同じように責められていただろうか?

答えはノーだと考える。恐らくサポーターはグアルディオラを庇い、フロントに不満をぶつけることとなっただろう。サポーターにとって問題は現状ではない、サッリが監督として選ばれたこと自体なのだ。

サッリが素晴らしい指導者であることを認めようではないか。選手としてのプロ経験もない銀行員だった彼は、サッカーに全てを捧げるために退職し、アマチュアの指導者というポジションからヨーロッパのトップまで駆け上ったのだ。もっと尊敬されるべき存在である。時間さえあれば、この天才監督はビアンコネーリに栄光を与えることになるはずだ。

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名前Uccheddu Davide(ウッケッドゥ・ダビデ)
国籍:イタリア
趣味:サッカー、アニメ、ボウリング、囲碁
好きなチーム:ACミラン、北海道コンサドーレ札幌、アビスパ福岡

14年前に来日したイタリア人です。フットボール・トライブ設立メンバーの1人。6歳の時に初めてミランの練習に連れて行ってもらい、マルディーニ、バレージ、コスタクルタに会ってからミランのサポーターに。アビスパ福岡でファビオ・ペッキア監督の通訳も務めた経験があります。

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