チャンピオンズリーグ

DR.TRIBE【試合診断書】CLグループステージ:レアル・マドリード対ローマ

大会:チャンピオンズリーグ
カード:レアル・マドリードvsローマ
スコア:3-0
担当医:菊池大将(@yukkenokonoko
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):ガレス・ベイル

チームの状況に応じてサイドと最前線、ときには中盤でバランスを取った。あのスピードでクオリティを維持できるところは流石としか言いようがない。カウンター時もかなりのクオリティを求められたが、難なくこなすなど特別な存在であることを認識させた。

ザ・ハード・ワーカー(THW):ダニエレ・デ・ロッシ

少々頼りないインサイドハーフ2枚を守備面で大きく助けた。埋めるべきスペースを埋め、ブロックを組んだ際にも、自身の役割を全うした。先制点につながるFKを献上したのも事実だが、あの場面でイスコに前を向かれてしまっては致し方ない部分もあるだろう。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):ローマのインサイドハーフ

スティーブン・エンゾンジとニコロ・ザニオ-ロは求められるクオリティを発揮することはできなかった。ザニオーロに関しては19歳という若さでこの舞台に立ったのだから、致し方ない部分もあるだろう。エンゾンジに関してもイタリアのクラブでインサイドハーフとしてプレーするにはもう少し時間が必要に見えた。


マドリードの攻撃vsローマの守備

ローマはマドリードのビルドアップに対してジェコがカゼミーロのへのパスコースを消すことで、サイドに誘導。マドリードもあらがうことなくサイドへ展開するスタートに。おそらくローマの狙いとしてはサイドにベイルを誘導し、パスの受け手を減らすことだっただろう。大方その狙いは成功しており、マドリードもCB間や、CBとSB間での崩しを余儀なくされた。

カウンター時もそれは同様で、マドリードのこのシステムにおける弱点である、カウンター時にサイドに人員を置くことができないというところを上手くついたと言えるだろう。マドリードはカウンター時にベイル、カリム・ベンゼマ、ルカ・モドリッチなどでハイクオリティのプレーを求められた。これがマドリードが攻めながらも中々点を取れなかった理由だろう。

ローマは、引いた際にはアンカーにデ・ロッシを置いた4-1-4-1を採用。2ライン間にボールを入れさせないことよりも、デ・ロッシが2ライン間で受けた選手に対してサイドへ誘導することに重点を置いているように見えた。

ただ、マドリードもそこは流石で引かれても両SB間をボールが行き来する際にじりじりと侵攻。最終的に両SBを高い位置に侵入させ、クロスを挙げた際にもフリーの選手を生み出した。

マドリードがローマの弱点を明確に突いたといえるのは、最終ライン裏へのロングボールだろう。昨シーズンまでであれば、アリソン・ベッカーがスペースを潰してくれていたが、ロビン・オルセンはペナルティエリア内から出てくることは少ない。

ロペテギの理想としてはイスコを中心としたパス回しでの崩しだっただろうが、勝利に結びついたのは、それとは正反対となるベイルへの縦に早いパス。理想と現実の間での妥協点とも言えるだろう。ディ・フランチェスコが中央に人数を多く配置したのも、マドリードの受け手と出し手のアンバランスさが要因と言える。

イスコ、マルセロ、モドリッチ、ベンゼマが動きながら受け手と出し手を入れ替えるなら、スペースを消し去ってしまえば良いという考え方かもしれない。ただ、それでも攻撃を完結させてしまうマドリードのクオリティは流石だ。


ローマの攻撃vsマドリードの守備

基本的にローマはロングボールでのカウンターを狙っていた。ブライアン・クリスタンテを起用しなかった理由は不明だが、高さのあるインサイドハーフ2人でミスマッチを作ろうとしていたことは分かる。ただ、その2人のプレーヤーにクオリティが伴っていなかった。

マドリードはモドリッチがデ・ロッシにタイトなマーキングを行いビルドアップを阻害。なるべくフェデリコ・ファシオが孤立するような形を作っていた。

ローマはサイドにマドリードを誘導することで、じりじりとSBを上がらせた。これにより押し込んだ際のマドリードの最後方にはCBの2人だけ。ジェンギス・ユンデルのスピードは一定の脅威になったといえるだろう。カウンターに対して、マドリードは人数をかけて遅らせに行ったが、遅らされた場合のパスコースの優先度も明確だった。

ロレンツォ・ペッレグリーニの投入はカウンターのクオリティの向上が主な狙いだったはずだ。遅らされた際に、ニコロ・ザニオーロでは突破口が見えなかった。パトリック・シックの投入は、身体能力の差でラファエル・ヴァランに苦しめられていたジェコのサポートの意味合いもあるだろう。カウンター時にジェコがスペースを作り出して、シックがそこを使った場面は象徴的だった。

60分頃からはボール奪取から、ローマがボールを保持する時間が多少増えた。その際にはエンゾンジを2ボランチに落として数的優位を確保しながら、エンゾンジではなくデ・ロッシの方がやや高い位置を取ってマドリードの攻略に動いていた。


マドリード監督:フレン・ロペテギ

恐らく理想と現実のはざまで揺れた試合だろう。ウイングでは活かしきれないイスコをどのように生かすかを考えた手立てとも言える。ローマに対するディフェンスはCBのクオリティで何とかする場面が目立ったが、リバプールやパリ・サンジェルマンなどの前線のクオリティが世界屈指のクラブに同じことをされたら、耐えきれるかは疑問だ。イスコの起用や、システム面で完成度を挙げていく必要があるだろう。


ローマ監督:エウゼビオ・ディ・フランチェスコ

辛抱強く、自身のやりたいこと(マドリードの弱点を晒して突く)を続けていた印象。狙いはある程度ハマり、カウンターとFKから2失点を喫しても、焦って得点を奪いに行くことはなかった。ただ、最終ラインやインサイドハーフ2人への不満はあるだろう。交代策に関してはある程度効果を出していた。ただ、この大一番でザニオーロをスタートで使わなければいけなかったのかは疑問だ。


主審:ビヨルン・カイペルス

試合を通して冷静にジャッジしていたといえるだろう。ミスと呼べるようなものもなく、判定の基準にブレもなかった。両チームにとってフラストレーションが溜まるシーンは少なかったはずだ。