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ハットトリックで奇跡を起こした豊川雄太。現地記者に聞いたベルギーでの反響と評価

オイペンのクロード・マケレレ監督 写真提供:Getty Images

「素晴らしかったし、完全に予想外だったよ。全く知られていなかった選手のおかげで1部に残留できたんだからね。(監督の)クロード・マケレレは『奇跡が起きた』と言っていた」と現地でオイペンを取材する彼は教えてくれた。

「今では誰もがユータのことを知っている。Facebookではプロフィールを彼の写真に代えたサポーターも何人かいたし、月曜日には全ての新聞に彼が載っていたよ」

 一躍地元のヒーローとなった豊川だが、11日の試合を含めても1月の加入以来の合計出場時間は114分。知名度が低かったのも当然だろう。遠い日本の地からシーズン途中の補強としてクラブに加わりながら、多くの出場機会を得られていなかったのは何が原因なのだろうか。

「まず最初に言っておきたいのは、今季のオイペンは守備に大きな問題があった一方で、得点にはあまり困っていなかったということ。エムバイェ・レイェ(元セネガル代表)は経験豊富だし、ママドゥ・コネ(レガネスからのレンタル)も獲得できた。ユータは日本の2部リーグから来て、クロード・マケレレが言っていた通り新しい生活とサッカーに慣れる時間が必要だった」

 そもそも過去2シーズンJ2でプレーしていた豊川の加入は、地元でも意外なものとして受け止められていたようだ。オイペンはカタールのアスパイア・アカデミーが所有しており、アジアとの結びつきを強めたかったのではないかとの見方もある(ちなみにアスパイア・アカデミーはリーズ・ユナイテッドともパートナーシップを結んでいる。豊川も当初はリーズからのレンタル移籍と発表されていたが、のちに鹿島からの完全移籍に訂正されており、その原因は不明だ)。

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