Jリーグ ヴァンフォーレ甲府

敵だけでなく雨にも打ち勝つ必要があるJリーグ。雨天決行の試合が多い理由とは

豪雨の中行われた柏レイソル対川崎フロンターレ

豪雨の中行われた柏レイソル対川崎フロンターレ 写真提供:Getty Images

今節では9試合中7試合で雨だった。広島でのみ良好な天気で、北海道では札幌ドームの屋根の下で試合が行われた。悪天候の影響は、タイトルまたはACL出場権争いを含む試合に現れる。柏(4位)と川崎F(2位)の2-2のドロー試合、ジュビロ磐田(6位)が横浜Fマリノス(5位)を相手取った2-1の逆転勝利試合などだ。

 多くの瞬間に、ボールはただ水たまり上で止まってしまう。自陣地でのショートパスは危険な選択となる。守備のエラーも増えた。ゴールキーパーへのバックパスは禁物となった。安全な選択は思い切りボールを蹴ることだ。チームはプレースタイルの変更を強いられる。今節日曜の22ゴール中、10ゴールがクロスから決められた。

 そのうち2つのクロスは、川崎Fのレフトバック車屋紳太郎によるものだ。最近日本代表でデビューした車屋は、2-0の失点から試合終了間際に同点にしてチームを救った。交替選手の知念慶と、MVP候補の小林悠が得点を決めた。

 川崎Fは様々なチャンスを逃したものの、恐らく残された試合で最も厳しい戦いにおいて、少なくとも勝ち点を伸ばした。しかしながら鹿島アントラーズが北海道コンサドーレ札幌を2-1で下すと、勝ち点差4にして首位のリードを広げた。守護神、金崎夢生がまたも決定的なゴールで輝きをみせた。

 一方、山梨もまた土砂降りの雨となり、山梨中銀スタジアムからたくさんの人の足が遠のいた。ヴァンフォーレ甲府の平均観客動員数(10,602人)を大きく下回る、シーズン最低の動員数(4,692人)となった。グラウンド上でボールを動かすのに苦戦しながら、ヴィッセル神戸がこの空中戦に賭けることに成功。ハーフナー・マイクのヘディングシュート2得点と共に、3-2の逆転勝利をする。

 ところで、ハーフナーは194cmの元SAMURAI BLUEセンターフォワードで、シーズン途中に神戸の大物としてルーカス・ポドルスキと共に契約に至った(ポドルスキはイエローカード蓄積により今回プレーしていない)。しかし彼は、多くの試合で使われることさえない豪華な控え選手でしかなかったのだ。先発で出場したのは今回でたったの2度目で、今回初めて90分プレーして初めてJ1でゴールを決めた。彼はすでに水曜の天皇杯でも劇的な同点ゴールを決めている。ここで考えてみてほしい。このような選手と契約しながら、ほとんどベンチに留まらせる意味は何か?

 外国人視点の論争はさておき、Jリーグ史上最大の叙事詩的瞬間の1つが豪雨のフィールドで起こったことを忘れてはならない。1994年、名古屋グランパスとジェフユナイテッド市原の対戦で、ドラガン・ストイコビッチがリフティングドリブルでカウンター攻撃を開始して観客の度肝を抜いた。このような状況下では、サッカーというよりも水球に近いプレーとなると言う者もいるかもしれない。しかし、マジックはまだ起こり得る。

ページ 2 / 3

名前:菊池大将
趣味:サッカー観戦、映画鑑賞、読書
好きなチーム:ACミラン
幼少期に父親の影響でミランが好きになりました。アイドルはシェフチェンコ。パッション、データ、経済、カルチャー、サッカーの持つ様々な表情を見るのが好きです。よろしくお願い致します!

筆者記事一覧